商業利用の車両は、個人所有のクルマと違って、愛着を持って管理されることはほとんどありません。
定期点検から定期点検の間のエンジンオイル交換さえなおざりにされ、しばらくぶりの入庫時には、墨滴のような漆黒の液体がドレーンコックから排出されることも。
さて、セルモーターの不調で、エンジン始動不能になったスバルサンバーが入庫しました。
平成18年式 LE-TV2 EN07 5MT 走行距離 231,000km
こちらの車両は、幸い、お一人のドライバーが車両管理を兼務されています。機械に対するご理解が深いのは機械関係のお仕事に従事されているからでしょう。
軽自動車で30万キロ走行を目指されているドライバーさん。
エンジンオイル交換は、時期になれば欠かさずご来店されます。
僕が初めてこちらのお車を拝見したのは2011年1月。イグニッションキースイッチの接触不良がきっかけでご来店されたとき、走行距離は10万キロを少し越えたところでした。
「ちょうどこれから調子が出る距離ですね。」
と、いつも申し上げていることに少し驚かれた様子でしたが、その後20万キロを超えて調子が変わらないサンバーを前に僕は、
「液体の管理さえしっかりしていれば、軽自動車で30万キロ走行も不可能でないかもしれませんね。」
とお伝えしたのが事の経緯です。
エンジンオイル交換時期はドライバーさんにお任せし、その他の管理は、定期点検時などに僕が。
よく長持ちしたセルモーターを取り外そうとしたところ、直上のウォーターホースからクーラントのにじみがありました。
リアエンジンのサンバーは、車両前方のラジエーターやヒーターコアと接続されるクーラント経路のホースや金属パイプが複雑で長く、クーラント交換管理の行き届いていない車両は内部から腐食や劣化が進行して手の施しようのない状態になっています。
融雪剤散布地域の場合は、金属パイプの溶接箇所の外部からの腐食にも注意が必要で、厚塗りできる防錆塗料を刷毛で塗布するなど、特別な防蝕対策が必要でしょう。
こちらのサンバーは、冒頭の写真の通りアルミ合金製のジョイントも、上の写真のスチール製のジョイント、そして下の劣化していたホース内部に至っても、経年の腐食は皆無でした。
ラバーホースの熱による硬化劣化は避けられませんが、漏れのあったホース1本のみの交換で修理を完了しました。
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