朝の気温が5℃を下回る師走に入り、スタッドレスタイヤへの換装作業が頻繁になってきました。
急な積雪時、タイヤチェーンなど滑り止め具着脱の煩わしさから解放されるスタッドレスタイヤ。
摩耗も、経年変化も一般の方に認知されているよりずっと早く訪れることに注意が必要です。
日光や水分を避ける環境に保管されたスタッドレスタイヤでも、概ね3年で新品当初の雪道での「効き」は低下し始めます。4シーズン目に入ったものを履き続けるのはお勧めしません。
雪が降らないからと、スタッドレスタイヤに換装する時期を遅らせたり、あるシーズンは交換しなかったりというユーザーがいらっしゃいますが、十分な性能を使わないまま経年劣化させることになりますから、間違った節約思考と言えるでしょう。
さて、ウエアインジケータ(スリップサイン)の手前に雪道での使用限界を示す「プラットフォーム」があります。
雪道で使えなくても残り溝が十分あるという理由で、そのまま夏も履き続けるケースがあります。
氷点下でも柔軟性を保つ特殊ゴムを使用するスタッドレスタイヤは、真夏の暑い路面では必要以上に接地部が変形してグリップ力が低下し、コーナリング性能、特に濡れた路面でのブレーキ性能が低下し、制動距離が大きく伸びます。
そして、さらに注意が必要なのは、同じく濡れた路面でのハイドロプレーニング現象です。
水圧に負けてタイヤの排水性能が追い付かず、路面とタイヤの間に水の層ができることが原因で、ハンドル操作もブレーキ操作も反応が無くなるとても怖い現象です。
スタッドレスタイヤは、溝が深くたくさん刻まれていて、一見、水との馴染みが良く排水性も優れているようですが、水圧に弱く簡単に変形します。これは冬の雨天時にも言えることですが、夏はより顕著に表れるでしょう。
スタッドレスタイヤの「サイプ」と呼ばれる細かい溝や、発砲ゴムなど特殊な素材は、一番滑りやすい氷上の水分を「吸水」して水の膜をできにくくするためで、「排水」とは発揮する性能が違うのです。
12月に入ったらスタッドレス。桜が散るころサマータイヤに。
雪上走行時、スタッドレスタイヤへの過信は禁物ですが、より安全な走行のために定期交換を習慣にされることをお勧めします。依頼作業の場合は混雑を、新品交換の場合は在庫切れの問題も回避できます。
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