約4年前、80km/h付近で足元に異常振動が出るということでお預かりした ダイハツ ミラ。
高速走行時の異常振動は、ホイールアンバランスやタイヤの異常摩耗がほとんどですが、高速ても80km/hと比較的低い速度域での振動は他を調べる必要がありました。
ホイールアンバランスと違って、ハンドルにほとんど振動を感じなかったのです。
色々調べた結果、左フロントドライブシャフトのインナージョイントに大きなガタ(ラジアル方向)を発見し、さらに調べると純正部品番号の大きな変更がありました。
当時の最新品番で中古部品を検索すると、ムーヴコンテのそれがヒットし、取り寄せたドライブシャフトは一回り大きいサイズでした。
《参考記事》ダイハツ ミラ 走行時の不可解な異常振動の原因は(TA-L250S)
最近になってまた80km/h付近で振動が気になるようになってきたと連絡をいただき、以前ほど酷い振動ではないけれど、高速道を走行するとき常用する速度域で、解消できるならお願いしたいとのこと。
平成17年式 TA-L250S EF-SE 5MT 走行距離 94,000km
まず最初に4年前に交換していなかった右側ドライブシャフトと、念のため左側ドライブシャフトの純正部品番号の変遷を調べたところ、4年前からさらに左右とも品番が変更されていました。
品番変更の理由はわかりませんが、最新品番で左右とも揃えたいとのご希望で、さっそく中古部品を手配しました。
まずは交換未実施の右ドライブシャフト。車上で点検すると、以前にはなかったラジアル方向のガタが少しありました。
予想に反して、右側ドライブシャフトのサイズは、新旧で変更がなく、バランスウエイトが省略されています。
そして、左ドライブシャフト
(上:旧装着品(4年前当時の最新品番)、下:最新品番で手配した中古品)
こちらも4年前の最新品番から大きなサイズ変更はありませんでした。
外観の違いは、シャフト中央部の形状です。
作業前のテストドライブでは、高速時の振動以外にゴロゴロと耳障りな異音が聞こえ、こちらの方が気になりましたので、分解の過程でハブベアリングの損傷を特定しました。
ハブナックル、ドライブシャフトを取り去ると前輪付近は非常にすっきりします。
車検時に付帯することの多い作業に、ロワーアームのジョイントブーツの交換がありますが、作業性を重視してここまで分解していいかもしれません。
軽自動車の部品はすべてが軽量で、狭い場所であれこれ工夫するより、一気に分解する方が体力の消耗が少ないでしょう。
新しいベアリングを油圧プレスで慎重に圧入します。
お客様にお渡し後、ベアリングの音が静かになり、80km/h付近での異常振動は感じられませんと、嬉しいご報告をいただき、修理完了といたしました。
ダイハツ 純正 ミラトコット 《 LA560S 》 左フロントドライブシャフト 43420-B9640 P20400-20002877
カクシカおじさん says
ご無沙汰しております。
プレミオを購入したため余り乗らなくなった当方のコンテですが現在31万km超で、結局エンジンは主に車上組み立てで転換したものの、CVTとトルコンとドライブシャフトは未だ新車からの旧品番の物がそのまま付いています。これまでの11年間に雪国・極寒冷地等過酷なところも多数走ってきたのですが、今のところ問題ないので放置しています。
さすがにフロント側のハブベアリングは耐久性が不安になり、しかもプレス加工が必要なことから22万kmあたりでやったベンチレーティドディスクの転換時に合わせて、4年前に一挙に新品交換しておいたのですが、こちらのお方のお車ですと現在10万km前後のようですので、ジョイントの劣化はやはり水分の混入等が考えられるのでしょうか?
時々スロープに車体を載せて、樹脂ブーツやゴムとかに付着した汚れや油分はきれいに空ぶきで除去したりして綺麗にしているのと、一度は交換したタイロッドエンドブーツ等の点検をしたりしてますが、私の場合では1人乗車が多くて軽負荷、かつ急激な加速はまずしないので多少は違うのかもしれませんが、ドライブシャフトは未だに非分解のままで、さすがにグリスが劣化してそうで気になりまして。
ITS says
カクシカおじさん様
コメントありがとうございます。
記事中のお車のドライブシャフトに関しましては、
4年前交換した左シャフトの場合、インナージョイント内部に摩耗の痕跡がありました。
回部から異物が混入した感じではなく、急角度がつく側のジョイントに負荷がかかったと考えていました。
今回は、右シャフトを交換しましたが、少しガタが発生していたインナージョイントは、
以前の左のような著しい摩耗はありませんでした。内部グリースもきれいでした。
同じく右側のハブベアリングの状態が良くなかったので、
異常振動の原因はハブベアリングだった可能性もあります。
尚、損傷のあったハブベアリングにはインナー側に
水分が侵入したと思われる赤錆が確認できました。
ドライブシャフトは基本的にメンテナンスフリーと考えていますが、
ブーツ破れが無くても、周辺にグリースの飛散が確認できる場合は、
適時内部の状態を確認する必要があると考えています。