エアコンが全く効かないということでお預かりした日産クリッパーバンは、エアコンスイッチを入れても送風の状態でした。 自動車エアコンの冷房サイクル(蒸気圧縮式)は、閉じた経路内の冷媒が以下の循環をすることで継続的な冷房が実現されます。 圧縮:コンプレッサが気体冷媒を高温高圧に圧縮 凝縮:コンデンサ(エンジンルームの室外機+クーリングファン)で高温気体が放熱して液体に変化 膨張:エキスパンションバルブ(膨張弁)で高圧液体が急激に減圧され、低温低圧の液体(霧)になりエバポレータへ導入 蒸発:エバポレータ(空調ダクト内部に設置された室内機)内で液体冷媒が蒸発し、周囲から熱を奪って冷却(気化した冷媒はコンプレッサへ戻る)冷えたエバポレータ外側に送風することで冷風を作ります。 冷媒回路途中のエキスパンションバルブをスプレノズルのようなものと考 … [Read more...] about 冷媒高圧がプレッシャスイッチのリミットを超えるエアコン不調の原因(GBD-U71V 日産クリッパー)
国産車
エンジン警告灯が点いて体感不調がない故障例(DBA-L175S ダイハツ ムーヴ P0325)
最近エンジン警告灯が点灯するときがあるが、体感不調はない とのことでお預かりしたダイハツ ムーヴです。 平成20年式 DBA-L175S KF-VE 4AT 走行距離 100,000km 早速簡易スキャナーでエラーコードを調べるとP0325 ノックセンサ系統を示しました。 ノックセンサは、エンジン内部で発生するノッキング(異常燃焼)を検知するセンサーです。よく間違われることがあるのですが、ノッキングとはエンジンの「カラカラ」という金属音のことで、車がギクシャク動く様子ではありません。燃焼室内で混合気が正常な点火タイミング以外で自然発火した結果、ピストンが上昇行程で反対向きに力を受けて首を振り、シリンダ壁を叩くのです。 NTKノックセンサー ダイハツ タント/カスタム L375S用 品番:KNE58 … [Read more...] about エンジン警告灯が点いて体感不調がない故障例(DBA-L175S ダイハツ ムーヴ P0325)
37万キロでサスペンションの要(かなめ)を再認識 アームブッシュの交換(UA-SCP10 トヨタ ヴィッツ)
先日交換したエンジンマウントインシュレータに類する構造の、サスペンションアームブッシュ。 サスペンションアームはゴムのブッシュを介してボディに取り付けられているのが一般的で、路面からの入力を緩衝するほか、ステアリングやサスペンションの動きが過敏になりすぎないようになっています。 レース場など特殊な路面環境、かつハイグリップタイヤで競うような車両では、路面からサスペンションアームに伝わる力が大きく、それに伴ってブッシュのたわみが大きくなりますから、サスペンションアームの動きの曖昧さが忌避され、ボールジョイント式などの精緻な作動部品に置き換えられます。 しかし、一般道の路面はレース場とは全く違って、タイヤのグリップ力もほどほど(それでも近年は車両側の性能が向上して車の姿勢がブレイクするようなことはありませんが)で路面はデコボコ。すべての動 … [Read more...] about 37万キロでサスペンションの要(かなめ)を再認識 アームブッシュの交換(UA-SCP10 トヨタ ヴィッツ)
特殊工具なしでできる?スズキ ハイブリッド ISGベルト交換 (スペーシア DAA-MK53S)
スズキのマイルドハイブリッドシステムは、主にISG(Integrated Starter Generater, … [Read more...] about 特殊工具なしでできる?スズキ ハイブリッド ISGベルト交換 (スペーシア DAA-MK53S)
エンジンの振動が気になり始めたら(トヨタ iQ DBA-KGJ10)
停車アイドリングでD(ドライブ)レンジに入れたままにしていると、エンジンからの振動が車体全体に伝わり大変不快。N(ニュートラル)に入れると多少振動が軽減するのがわかったけれど、信号で停車するたびにDからNにする操作は煩わしくストレスだ。 との訴えで、最初にお預かりしたのはもう1年も前のことです。 平成21年式 DBA-KGJ10 1KR-FE CVT … [Read more...] about エンジンの振動が気になり始めたら(トヨタ iQ DBA-KGJ10)
ここまで分解する軽自動車のヘッドライトバルブ交換(ダイハツ コペン L880K)
同業他社から、ダイハツコペンのハイビームバルブ交換依頼が来ました。 同業者からの依頼ということは難儀な作業だということですが、今回は予想を上回りました。 今回はハイビームバルブの交換ですが、ヘッドライトユニットを取り外す必要があります。ヘッドライトユニット取り外しは多くの場合、フロントバンパー離脱で済むところが、このコペンにおいてはフロントフェンダーも取り外す必要がありました。フロントフェンダーの固定ボルトはワイパーモータが収まるカウルトップパネル奥にもあり、ワイパーやカウルトップパネルも離脱。折り返し点の分解作業はこのような光景になります。 可愛いエクステリアデザインで、既存のコンポーネント流用という制約の中では、このような整備性が精いっぱいといったところでしょうか。 輸入車のような難易度の作業を国産車で経験し … [Read more...] about ここまで分解する軽自動車のヘッドライトバルブ交換(ダイハツ コペン L880K)
パワースライドドアの修理に挑む(トヨタ シエンタ CBA-NCP81G)
クルマのスライドドアは日本発祥の構造ではないのですが、日本では特にミニバンなどファミリーカーで普及し、独特の文化や実用性を持つようになりました。 乗用車、特に家族向けのクルマにスライドドアが広く採用されるようになったのは、1980年代以降のことです。このトレンドは日本で特に顕著で、完成車メーカーはミニバンやトール型軽自動車にスライドドアを標準装備するようになります。 日本でこれほどまでにスライドドアが人気を博した理由は、都市部における限られた駐車スペースや幅の狭い道路で、従来のヒンジ式ドア(開き戸)では昇降しにくい狭い場所でもドアを開閉しやすいということのほか、ヒンジ式ドアで起きる、子供が誤ってドアを開けてしまう事故を低減する効果もあり、ファミリーユースのクルマとして大変魅力的だったからです。 その後の技術革新でスライドドアにパワーア … [Read more...] about パワースライドドアの修理に挑む(トヨタ シエンタ CBA-NCP81G)
ジムニーシエラの重整備を経て思う、時代と加齢の変化(JB43W トランスミッション&クラッチ交換)
ジムニーシエラにお乗りのお客さまから、特定のギア(特に4速)から異音がすると伺い、まずは内部の状況を推察しようとオイルを抜き取ると、ドレーンボルトの磁石に大量の金属粉が付着していました。 平成27年式 ABA-JB43W M13A 5MT PT4WD 走行距離 … [Read more...] about ジムニーシエラの重整備を経て思う、時代と加齢の変化(JB43W トランスミッション&クラッチ交換)
トヨタ車でまさかのインジェクタ不良!? 謎のエンジン不調と正しい診断手順 ~【実例解説】1NZ-FEエンジン P0304エラーコード No.4シリンダ失火の真因を探る~
2025年の年明け早々、同業者様から連絡(相談)が入りました。 車齢10年、走行距離7万キロ未満の車両を販売、トヨタはとにかく壊れないイメージだから安心していたところ、納車半年でエンジン警告灯点灯と共に、エンジンの体感不調(特にアイドリング時の振れ)が現れたとのこと。 特定のシリンダが機能していないような症状は断続的で再現性に乏しいらしいのですが、エラーコード P0304、すなわちNo.4シリンダ失火検出していることが確認できているとのこと。 見込みで社外イグニッションコイルと、社外スパークプラグ、リビルトエアフロセンサ(そんなものがあるのか?!)を取り付けたけれど、しばらくすると症状が現れて改善がみられないとのこと。 NGK イグニッションコイル U5166 4本セット 48542 純正部品番号 90919-02260 … [Read more...] about トヨタ車でまさかのインジェクタ不良!? 謎のエンジン不調と正しい診断手順 ~【実例解説】1NZ-FEエンジン P0304エラーコード No.4シリンダ失火の真因を探る~
25万km走破の軽トラ冷凍車 DA16T クーラント漏れで判明した要注意ポイント 〜始業点検の重要性と整備性の良さを実例解説〜
8年目を迎えた冷凍庫付きの軽トラックは、もうすぐ走行距離が25万キロ。 主に市街地走行&極端にストップゴーが多い状況で年間約3万キロ走ります。ここまでほぼトラブルなしで走行できているのは、ドライバーさんのクルマに対する注意が行き届いているからに他なりません。 今回は車両下にクーラントのようなものが滴下しているということで点検しました。とてもよい習慣ですね。始業点検は大事です。 平成29年式 DA16T R06A 3AT 走行距離 … [Read more...] about 25万km走破の軽トラ冷凍車 DA16T クーラント漏れで判明した要注意ポイント 〜始業点検の重要性と整備性の良さを実例解説〜