金属同士が擦れあうエンジン内部は、金属摩耗を完全に回避することはできません。 エンジン内部に循環するエンジンオイルは、金属同士の直接的な接触を低減し、摩耗を抑制する重要な役割を担います。 一番摩耗が起きるのは、冷間始動(コールドスタート)時です。 エンジンオイルがオイルポンプで吸い上げられ、エンジン各部に行き渡り、油圧が安定するまで早くても数秒は掛かります。 また、エンジンの各パーツは安定温度でクリアランスが適正になるような形状(熱膨張を考慮して冷間時に楕円やテーパーなど)になっていますので、完全暖機までは各部クリアランスが理想的ではありません。簡単にいうと暖機中は隙間の広い部分があるということです(暖機運転がとても重要な理由です)。 ですから、安定状態に至るまでのエンジンは、各部に留まるエンジンオイルの油膜性能がとても重 … [Read more...] about エンジンオイルの低粘度化傾向とエンジン摩耗、その対策について(その2)
メンテナンス一般
エンジンオイルの低粘度化傾向とエンジン摩耗、その対策について
省燃費性能を優先した0W-○○というエンジンオイルが主流になりつつある今、取扱説明書にこんな表記のあるお車をお預かりしました。 ターボ仕様の過給機付きエンジンで0W16!、自然吸気エンジンで0W8! 性能を適正に保つため指定銘柄の使用を薦めるとのこと。 脚注を見ると、指定銘柄が用意できない場合、0W20は使用可能とされていました。 少し前までは5W30の使用は認められていて、省燃費のためには低粘度オイルを使ってくださいということでしたが、この車種に限っては(今後の主流になると思いますが)メーカー指定から5W30以上の粘度のオイルは外されています。 エンジンオイルの粘度が下がると油膜が薄くなり、単純に金属摩耗が増えます。 超低粘度オイルには摩耗が少なくなるような工夫はされているでしょうが、省燃費と耐摩耗は相反する性質 … [Read more...] about エンジンオイルの低粘度化傾向とエンジン摩耗、その対策について
「もう耐えられない!」~始末に負えない劣化を始末する(その2)~
輸入車には、内装部品の表面塗装が劣化して酷い「ベタつき」が発生する車種があります。 クルマが新しいときは、しっとりとした手触りなのですが、直射日光に当たる場所に置かれた場合など、早いもので5年(2回目の車検時)、条件のよい環境でも9年(4回目の車検時)で、内装部品の手に触れる場所がベタベタと粘性を帯びてきます。 魅力的な輸入車はどうも薹(とう)が立つのが早いといいますか、国産車にはほとんど見られない代表的な劣化の一つです。 このベタベタは、酷いものになると粘着性の黒いものが手に付着し、その手で衣服や他の内装部品を触るので、知らない間に黒い汚れがあちこちに移って汚してしまうのです。何とかしようとウエスなどで拭き取ろうものなら最悪で、繊維が表面に絡まって見るも無残、余計に表面の状態が悪化してしまいます。 これはまさに始末に負えない劣 … [Read more...] about 「もう耐えられない!」~始末に負えない劣化を始末する(その2)~
「もう耐えられない!」~始末に負えない劣化を始末する(その1)~
国産車で概ね15年、輸入車だとその半分の7年ほどで、どれだけ丹念に手入れしていても、外観の劣化が色々現れてきます。 現在主流のポリカーボネート製ヘッドライトの黄変はその典型です。何度か記事でご紹介した通り、素材表面を研磨で整えることで、外観の甦りが比較的容易です。 黄ばんだヘッドライトをできるだけ綺麗にしてみた ところが部品に施した塗装(塗膜)が劣化した場合は、そう簡単ではありません。 例えば、こちらのミラーカバーは諸作業の合間や休憩時間に少しずつ再生を進めているものです。 2層塗装の上面側、クリア層が浮き上がって剥離しています。 塗装済みのミラーカバー単品の供給が受けられる車種はたいへん幸せで、部品交換で問題は解決しますが、残念ながらこちらのミラーカバーは単体の部品設定が無いうえ、サイドミラー全体の部品 … [Read more...] about 「もう耐えられない!」~始末に負えない劣化を始末する(その1)~
タッチアップペイントが格段に上手くなる方法(その3、修正編)
過去に2回、タッチアップペイントについてお知らせしました。 1. タッチアップペイントが格段に上手くなる方法(筆選びと筆運び) 2. … [Read more...] about タッチアップペイントが格段に上手くなる方法(その3、修正編)
市販H4バルブの徹底比較 ~最高に明るいハロゲンバルブを求めて~
特に雨の夕暮れ時、ヘッドライトを点けていても、本当に点いているのかと思うほど暗く感じることがあります。 HIDやLEDといった明るい光源が標準のクルマが増えてきましたが、まだまだハロゲンバルブ装着車にお乗りの方も多いでしょう。 雨の夕暮れ時はHIDやLEDであっても見にくいものですが、ハロゲンバルブはなおさらです。ヘッドライトが明るくなりませんかという相談は絶え間なく寄せられていて、お客様自身で社外品のHIDやLEDを装着されていることも珍しくありません。 光源をHIDやLEDにすると確かに視界は明るくなるのですが、問題があります。 平成27年9月1日以降、車検時のヘッドライト検査がロービームになり(平成10年9月1日以降製作車に限る)、社外のHIDやLEDは、車検対応と書かれていてもほとんど不合格。 … [Read more...] about 市販H4バルブの徹底比較 ~最高に明るいハロゲンバルブを求めて~
経年車をすっきり綺麗に見せるためにできること
クルマの各パーツの経年劣化は避けられません。 蓄積した汚れや、劣化した部分はホンの少しだけれども、全体が古びて見えてしまいます。 アルミホイール内側にこびりついたブレーキダストの汚れは、そう簡単には落とせませんが、ドラッグストアなどで簡単に入手できる〇〇〇〇〇を使うと、ホイールの塗装を痛めることなく、右側の状態くらいまでは綺麗にすることができます。 スポークの隙間から見えるホイール内側が綺麗だと、ホイール全体が綺麗に見えるのはずなのですが… 残念ながら、この年代のスバルのアルミホイールセンターキャップは、塗装の劣化が著しく、茶色く変色した素地が表面に現れて、全体が古く見えてしまいます。 センターキャップは簡単にホイールから離脱できますので、再塗装してみましょう。 鈑金職人さんから譲り受 … [Read more...] about 経年車をすっきり綺麗に見せるためにできること
長期無交換のクーラントを冷やすとどうなる?~交換時期超えのスーパーLLCで実験~
現在、多くの入庫車両にスーパーロングライフクーラント(以下、スーパーLLC)が、エンジン冷却水として使われています。 以前のロングライフクーラント(以下LLC)と同様、主成分はエチレングリコールという多価アルコールです(エチレングリコールは水酸基が分子中に2つなので二価アルコール)。 旧来のLLCは、2年毎の交換が必要でしたが、スーパーLLCは、添加剤(防錆剤、消泡剤、その他)の技術開発が進み、初回交換は、7年もしくは16万キロや、11年もしくは20万キロ(いずれも早く到達した方)といった非常に長い交換サイクルとなっています。 エチレングリコールは環境負荷の高い物質で、生体内で代謝されると有毒化します。第一に適正な廃液処理が必要ですが、交換サイクルを長くして環境負荷を低減する努力をメーカーが行った結果と言えるでしょう。 さて、鋳 … [Read more...] about 長期無交換のクーラントを冷やすとどうなる?~交換時期超えのスーパーLLCで実験~
錆びたワイパーブレードを新品同様にする方法
車齢が10年を超えるころから、特に屋外駐車車両のワイパーの『錆』や『色褪せ』が目立つようになります。 運転席前方の視界に入る場所ですし、写真のように赤錆まで劣化が進んでしまいますと、車全体がみすぼらしく見えてしまいますね。 車両の外に配置されているワイパーは次の3つの部品で構成されます。 ①ワイパーアーム ②ワイパーブレード ③ワイパーラバー 交換部品としてカー用品店やガソリンスタンドなどで販売されているのは、③のワイパーラバー(替えゴム)や、②のワイパーブレードと③のワイパーラバーが組み合わさったもの(これを一般的にワイパーブレードと呼びます。)です。 上の写真はワイパーブレード部の錆ですので、市販品と交換することで手軽に綺麗にできるでしょう。 しかし、次の写真のように、③のワイパーアーム部にまで錆が及 … [Read more...] about 錆びたワイパーブレードを新品同様にする方法
タッチアップペイントが格段に上手くなる方法(その2、ホワイトパール・シルバー編)
タッチアップペイントが格段に上手くなる方法(筆選びと筆運び)の続編です。 今回は、粒子顔料が入ったパールやシルバーメタリック塗装の具体的なタッチアップの方法をお伝えしようと思います。 手間(時間)を掛ければ、本当にわからなくなるほど綺麗に仕上げることが可能ですが、今回の作業は数分から10数分で目立たなくすることを目標にしています。 まずホワイトパールの補修例です。 フロントバンパーに飛び石でついてしまった小さな傷。 バンパーの素材(PP)が黒いので、塗色のホワイトパールと明確なコントラストが出てしまい、遠くからでも目立ちます。 小さな傷なので、大げさな鈑金塗装をするほどではないと、あなたは最初に市販のタッチアップペイントを購入されると思います。 カラーコードを調べて同一色を選んで、蓋に付属のブラ … [Read more...] about タッチアップペイントが格段に上手くなる方法(その2、ホワイトパール・シルバー編)
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