「オーバーヒートの警告表示が出ました。走れそうですからこのまま乗りましょうか?」
大晦日の夕方にお客様から連絡が入り、ぬるい油汗が額と背中を一瞬で濡らします。車検整備でお渡し後5日目の午後でした。
「お近くですか?エンジンを止めて安全な場所でお待ちください。」
車齢9年、走行距離17万キロ超のBMW。いろいろな不安箇所がありますが、全てに手入れするのは不釣合いと考えて車検整備は小範囲に留めました。クーラントの交換をしましたので、何か失敗があったのかと現車を見るまで気持ちが落ち着きません。
停車されている場所に到着し、まずはサブタンクのクーラント量が規定であることを確認して安堵します。エンジンを掛けると、さっきまで変な音がしていたが止んだようだとお客様はおっしゃいます。店まで10キロほどの距離をゆっくり回送しますが、まったく快調でオーバーヒートも治まったようです。
店に着き、G-scanの診断結果は、電動ウォーターポンプの作動不良でした。純正ウォーターポンプと関連部位の交換費用は今回の車検費用とほぼ同額。
魅力的な要素が満載のBMWですが、トラブルに陥ったその原因に触れるたび、砂上の楼閣感が拭えません。
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