「オーバーヒートの警告表示が出ました。走れそうですからこのまま乗りましょうか?」
大晦日の夕方にお客様から連絡が入り、ぬるい油汗が額と背中を一瞬で濡らします。車検整備でお渡し後5日目の午後でした。
「お近くですか?エンジンを止めて安全な場所でお待ちください。」
車齢9年、走行距離17万キロ超のBMW。いろいろな不安箇所がありますが、全てに手入れするのは不釣合いと考えて車検整備は小範囲に留めました。クーラントの交換をしましたので、何か失敗があったのかと現車を見るまで気持ちが落ち着きません。
停車されている場所に到着し、まずはサブタンクのクーラント量が規定であることを確認して安堵します。エンジンを掛けると、さっきまで変な音がしていたが止んだようだとお客様はおっしゃいます。店まで10キロほどの距離をゆっくり回送しますが、まったく快調でオーバーヒートも治まったようです。
店に着き、G-scanの診断結果は、電動ウォーターポンプの作動不良でした。純正ウォーターポンプと関連部位の交換費用は今回の車検費用とほぼ同額。
魅力的な要素が満載のBMWですが、トラブルに陥ったその原因に触れるたび、砂上の楼閣感が拭えません。
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カクシカおじさん says
明けましておめでとうございます。
昨年の年末はお世話になりありがとうございました。ショックアブソーバー交換後は安定して順調良く走っております。ところでこちらの方のBMW、我がコンテ号の約2倍の年数なるも走行距離で比較しますとほぼ同一といった感じですね。まあお車の格は全く比較にはなりませんが。
ところで整備中にも話題にもなりましたウォータポンプ、こちらのお方のお車は電動式ポンプなのですね。我が車はオーソドックスな旧来からのベルト駆動の機械式ウォータポンプなので、駆動ベルトが切れない限り大丈夫そうです。
が、年間の走行距離が多いため(車検毎で7万km以上も、さらに加えて車中泊もしているし)、駆動ベルトはもとよりサーモスタットやラジエターキャップとともに、ウォータポンプは車検毎交換している有様です。我が車ではここの部分だけがエンジンルーム内でいつもピカピカですが、部品代の費用は合計で2万円ほどでしょうか。でも外車の補修部品に比べればかなり安いのでしょう。
この車検毎の交換整備のおかげで、エンジンの生命線ともいえる冷却水系統、幸い今までに冷却水が漏れることもなく、サーモスタットが不調になることもなく、羽根が腐食することもなく、交換費用こそはかかるもののトラブルは一切なくて18万kmまで乗れました。
これはウォータポンプが機械式だからこそ、成しえる技なのかもしれません。
ドイツのように郊外やアウトバーンをビュンビュンと走る車が電動式ウォータポンプとは、私から見ればちょっと不安にかられるところですね。でも部品代が高そうだからやみくもに交換するわけにはいかないし、電動式なので壊れる予兆もなく壊れるかもしれないのに、なぜ重要部品ともいえるウォーターポンプに電動式ポンプを採用するのでしょうね。燃費を良くするためなのでしょうか?
こういう私もちょうど1年ほど前に、コンテの電動式ラジエターファンを新品交換しました。
詳しくは当時の当整備手帳にアップしましたが、その当時で約160000kmの走行、実際に交換したのは真冬だからいいものの、真夏にこれがやられると即オーバーヒート→レッカー行きなので、不安に駆られて予防保全しました。現在はラジエターファンはほぼ電動式だからいつ壊れるか全く分からず、知人が壊れたことを聞き及んで不安に駆られて我が車も交換しちゃいました。
燃費向上も良いが、壊れにくいクルマ・整備性の良いクルマ・できれば故障予知も出来ればいいのですが、やたらと電子化が進むとシステムが複雑になり故障自体は減っているのでしょうが、予測できない故障が増え、まただんだんと予防保全さえもできにくくなっていきますね。
私は、以前こちらのブログで読みました「無事これ名馬(無事之名馬)」派です。
→ http://takeshi-kun.com/article/384407997.html
はがくれE says
電動W/Pあるあるみたいですね。
自分はまだ交換作業になったことはありませんが、別件で預かったE90に、電動W/P通信エラーのログが入ってたことはありました。
一旦消去できたので経過観察の状況です。
一応、アイドリング時や走行時をデータモニターしてみましたが、水温は安定してました。
定期点検か何かで入庫したらまた確認してみようと思っています。
たけし says
皆様コメントありがとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。
ご承知の通り、国産車でもプリウスなどハイブリッド車には電動式ウォーターポンプが装着されています。ハイブリッド車のウォーターポンプ電動化は燃費向上の狙いがあるのでしょうが、こちらのBMWは3.0リットルのガソリンエンジン搭載車両で、燃費より、エンジン回転変化の影響を受けずに安定したクーラント圧送を行う機能を重視しているように思います。
電子制御の管理下ですから、はがくれEさんが、ご経験されたようにフォルトログが残ります。予兆が全く察しがつかないというものでもなさそうでが、今回のように突然の作動不良→オーバーヒートということもあるようです。
ウォーターポンプに限らず、電子制御が広範囲で複雑になるほど、電磁モーターなど独立した動力源に機械動作を任せることになりますね。
燃料ポンプもほとんど全ての車両で電動化されています。
ポンプの寿命は圧送する液体の質に大きく影響を受ける印象がありますので、ウォーターポンプに関してはクーラントの管理、燃料ポンプについては、良質の燃料を注入する、そのうちエンジンオイルのポンプも電動化されるのでしょうか?それについてもエンジンオイルの管理が第一に重要だと考えます。