「そう大きな音ではないけれど、最近ブレーキを踏んだときだけ、変な音がするときがある」
と、半年ごとにきっちりと点検でご来店いただくお客様からお知らせがありました。
平成21年式 DBA-L275S KF-VE 3AT 走行距離 64,000km
音は前の方から聞こえてくるようだと伺っておりました。早速、異音確認のため走行テストに出かけます。確かにブレーキを踏んだときだけ、「カ、カ、カ、カ…」とタイヤ回転に同期した異音が確認できました。そして、お客様仰せのとおり、助手席の足元付近から音が聞こえます。音は非常に小さく、ラジオなどの音でわからなくなる程度のものです。
店に戻って、左前輪部のブレーキ装置を分解、各サスペンションアーム、タイヤ、ホイール、エンジンマウント、ミッションマウント、サブフレームなどを入念に点検しますが、原因らしきものは全く見当たりません。異音はするときとしないときがあり、原因不明のまま一旦お返しすることにしました。ブレーキ操作と異音発生が関係しているようなので、可能性は低いですが、変速機内部の不調の場合、高額な修理になることを申し添えました。
そして、数週間後、お客様から、段々と音が大きくなってきているようだと連絡が入り、再度ご入庫いただくことになりました。このような時間の読みにくいタスクに際し、「本日中に原因究明」と期限を設けましょう。助手席に同乗いただき、二人で異音の確認をします。
音はやはり助手席足元から聞こえます。音量は以前より大きく、音質はザラザラした感じに変わっていました。しばらく走行テストを続けると、後ろの方からも聞こえる気がします。これはお客様も感じられたようでした。
助手席下のフロアーパネルには四角断面のフレームが通ります。これが共鳴管になっていて、リアブレーキの不調音が前方で発生していた可能性が出てきました。早速リアのブレーキドラム分解します。
ところが、ドラム内面は期待外れのきれいな摺動面。あれだけはっきりした異音なのに… 右リアのドラムも分解しますが異常なし。
組み付けて、もう一度「音出し」です。
すると…
異音が完全に解消していました… 再度、左リアブレーキの摺動面を確認します。目を凝らすと、わずかな筋状の傷が確認できました。
この部位に固い異物があったのでしょうか。最初のドラム離脱のとき、内部にあったかもしれない異物は脱落したのか行方不明です。
ブレーキシューの摩擦材に混入していた可能性。ブレーキ分解点検のときに外部から入った可能性など考えられますが、いずれにしても、早期に解決し、重大な故障ではなく安堵しました。
点検の過程で発見したミッションマウントのゴムの亀裂は、保証修理(延長保証)の対象になるそうです。
室内への振動がさらに軽減されればいいですね。
~追記~
その後もブレーキ時異音は不定期再発しました。決定的な解決に至らず、お客様には長期間ご心配をおかけしました。
解決に至った記事を以下にまとめました。
未解決のブレーキ時異音へのアプローチ(ダイハツ ミラ DBA-L275S)
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