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上がらないパワーウインドウの修理(プジョー307CC)

エンジン不調が解消して好調が戻ったのも束の間、運転席のウインドガラスが下がったまま動かなくなったとお客様から連絡が入りました。

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平成16年式 GH-A307CC RFN AL4 走行距離 85,000km

先々月、206CCのリアクオータガラスの修理でお客様からご提案があり、使用したのと同様のリペアキットを東欧トルコの業者から入手。極力部分的な修理に挑みます。

307CCの長いドアの内張りを離脱すると、大きなブラインドリベットで固定されたインナードアハンドルが作業の進行を最初に阻みます。

ブラインドリベットで固定する一番の理由は、生産側の都合で時間短縮のためでしょう。下がったまま動かないドアガラスがリベットのすぐ向こうにありますから、乱暴な作業はできず、樹脂製のドアハンドルに熱の影響が少なくなるよう慎重に削り取ります。

見慣れない大きさのリベットは、手持ちの工具(ハンドリベッター)には適合するアタッチメントがありません。そして部品商によると、補給部品もうまく特定できないということですから、M5 P0.8 サイズのナットリベットを打ち込んで、今後のためにも着脱が容易な構造に改変しました。

不慣れな構造に当惑しながら対処しますが、パワーウインド機構はまだ先です。輸入車を専門にされている同業の方、本当に大変だと思います。ご苦労お察しいたします。

薄い発砲樹脂製のシートの向こう側。破れやすいシートは再利用するため、しつこい粘着剤を丁寧にカッターで切り取りながら剥離します。

そして、重いウインドガラスを一旦ドアから切り離し、ようやく取り出せる釣瓶式パワーウインドの主機構部です。

モーター軸に取り付けられた樹脂リールには、ぐちゃぐちゃにワイヤーケーブルが絡まっていました。

ワイヤーの末端を支え、重いウインドガラスの一端を保持する樹脂部品は見事に割れていました(奥に見える青い同形の樹脂部品はリペアキットに内包されていたものです)。あまりに頼りない構造に驚きました。

矢印の部分はモーター支持部の一つですが、少し亀裂がありました。ワイヤーが絡まった後に無理が掛かったものと思いますが、リペアキットには含まれていない部品でしたので、一か八かで再使用を試みます。

そのまま組み付けたのでは無理のかかるパワーウインド機構。数の多い調整部を少しずつ動かしながら試行錯誤し、ようやく正常動作するようになりました。

ところが、ガラスの建付け調整のため何度もガラスを上下させていると、鋭く大きな礫音と共に再度作動不良に…

亀裂の入っていたモーター支持部が断裂してモーターリールがいびつになったのでしょうか。可動部の抵抗が大きいようで、上下ともスイッチ操作するとわずかに動いて停止します。

約5日間、他の作業の合間に少しずつ進めてきたのですが、不本意ながらリペアキット補修は断念し、純正供給のレギュレータASSY組み付けに方針変更することをお客様にお知らせしました。

次回『動かないパワーウインドウの修理(完成編、プジョー 307CC)』に続く