12ヶ月点検でお預かりしたフィアット プントアバルトは、入庫直後の点検で燃料ポンプハウジングの高圧部から著しい燃料漏れがわかりました。引火の危険性が極めて高く、お客様とご相談の結果、修理を承りました。
平成11年式 GF-176BV3 走行距離 106,000km
到着した真新しい燃料ポンプです。
燃料タンク内部に配置される電動式ポンプは、燃料残量計のセンサーも一体になっています。燃料ポンプはフレンチ(MADE IN フランス)でした。
取り外した燃料ポンプの高圧ジョイント。付近はガソリンの橙色で変色、漏れ出した燃料に呼ばれた砂塵が堆積しています。
燃料漏れの修理が完了し、ようやくエンジンを稼動させて走行点検を実施できます。
まず最初にステアリングの中立位置が大きく右に傾いているのと、操舵開始直後の手応えに違和感がありました。
「サイドスリップ」という前輪の整列を計る指標があります。車種別に基準値が細かく設定されている大変重要な数値で、一般的に単位は「mm/m」。車が1m進んだときに、前輪が横方向に転がろうとする値をmmで表します。
内側に転がろうとする場合は「イン側」、外側に転がろうとする場合は「アウト側」。車軸は自動車に固定されていますから、タイヤと路面の接触部に横方向の滑りが生じます。「横滑り量」と表現されることもあります。
後輪駆動の欧州車は基準値が内側に5~7mm/mと、大きめのサイドスリップ量が基準とされていることが多く、日本の保安基準 イン側 5mm/m~アウト側 5mm/mを超える場合があります。継続検査を通過させるために間違った調整を施されている場合があり、初めて拝見するお車は特に重視しているポイントです。それほど操舵感覚に違いが見られる箇所なのです。
前輪駆動のフィアット プントの基準値は0±2mm/m。測定値はイン側に6mm/mと、大きく基準から外れていました。
タイロッドエンドの調整箇所で、ハンドルの中立位置と共に修正し、違和感のないステアリングフィールが戻りました。
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