前回記事『BMW E46 325i 乗り心地改善(コイルスプリング交換)』の続きです。
12月初旬に慌しくやってきた寒気で、来週の営業時間中は、車の冬支度、スタッドレスタイヤへの換装の予約がいっぱいです。そして、師走は車検整備も大変混み合いますので、落ち着いて一つの作業に集中することが難しく、E46の足回り整備は休日返上でじっくり作業することにしました。
BMW E46 325iセダン 走行距離 79,000km
最初にご来店いただいたときの仕様は、
でした。市街地の試運転で、フロントよりリアの動揺収束が決まらないのが印象的で、ショックアブソーバの減衰力に対してスプリングレートが高いと感じました。僕が感じた印象をオーナー様もお感じになられていたご様子でした。中古車でご購入の際、スプリングはフロント、リア共Mスポーツ用で、乗り心地改善のためショックアブソーバをザックスのアドバンテージ装着、さらにリアスプリングをアルピナ用にと、少しずつ仕様変更されていたようです。自動車の静止姿勢は悪くなく、全体的にわずかに車高が低いと感じました。
今回はコイルスプリングを325i純正に戻す作業です。今回の仕様変更はお客様のご提案です。
まずフロントサスペンション
ザックスアドバンテージと純正ザックスは、ともに無負荷でショックロッドが幾分縮んで安定する仕様。ストロークはアドバンテージが長く、無負荷安定全長はほとんど変わりませんでした。
コイルスプリングは線径で実測0.8mmの差があり、自由長には大きな差がありました。自由長が短く、線径が太いのがMスポーツ用です。
↓現行ザックスの純正リプレイス品です。
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次にリアです。
リアスプリングはフロントよりも極端な樽型。ノーマルとアルピナ用では大きく形状が異なります。
一番の違いはスプリング両端の非線形部でしょう。ノーマルは両端の線形が極端に細い個性的な形状です。
暫定仕様が組みあがり、車高は各輪、5mm~10mmほど上昇しました。
早速試運転に出かけます。リアの乗り心地が改善したのは予想通りでした。しかし、加速時のリアの沈み方が心地のよいトラクションを稼いだことは予想外でした。
リアスプリングの両端部分の特徴がトラクションに生きるんだと思います。このリアサスペンションで駆動する後輪は、カーブ中盤から加速するときに路面を柔軟に蹴りつけます。この感覚はアルピナ用のスプリングには全く無かった味付けです。そして、これが本当の「BMWの駆け方」なんだと感じました。
↓ザックスにはこのような車高調整式のキットもあるようです。