(参考写真:トヨタプレミオ、車齢11年、走行距離12万キロ、油脂類消耗品の適切な交換のみで故障なし。)
「無事之名馬」
競走馬を指して「能力が多少劣っていても、怪我なく無事に走り続ける馬は名馬である」とする考え方を表した格言です。
馬主でもあった作家・菊池寛は、日本競馬会の雑誌『優駿』に寄せた随筆で、馬主としての経験から
「樂しみを覺える割合ひに較べれば、心配や憂鬱を味はふ時の方が多い。馬を持つてゐることの樂しみが二、三割だとすれば、心配や憂鬱の率は、まづ七、八割にも及ぶであらう。それも、大部分は馬の故障から来るのだ」
と語り、
「馬主にとつては、少しぐらゐ素質の秀でてゐるといふことよりも、常に無事であつてくれることが望ましい。『無事之名馬』の所以である」
としています。(以上、Wikipediaから引用)
上掲のトヨタプレミオの所有者は、「私は自分の車に秀でた能力も、デザインも必要ない。移動手段として目立たず、その役目を果たしてくれさえすればいい。そういう意味でこれほど過不足のない車に大変満足している。」とおっしゃいます。
まさに無事之名馬といえる自動車ではないでしょうか。
さて、自動車を所有するということは大変な経済負担を強います。これは、僕が以前にfacebookに掲載したある試算です。
新車を購入し、9年間、走行距離90,000kmまで、駐車場を借りて所有
車両本体 2,000,000円
駐車場 15,000円/月×12月×9年=1,620,000円
ガソリン 90,000km/12km/リットル×150円/リットル=1,125,000円
自動車税 34,500×9=310,500円
車検 100,000円×3回=300,000円
エンジンオイル 90,000km/3,000km/回×4,000円/回=120,000円
タイヤ 80,000円/回×2=160,000円
任意保険 50,000円/年×9年=450,000円
合計 8,605,500円/9年 = 79,681円/月
大きな故障がなくても経済的な負担が大きいことがわかります。魅力的な要素が豊富な輸入車の購入を逡巡するのも無理ありません。故障の頻度とその修理費が、所有している間、常に心配で憂鬱なのですから…
最近のトヨタ車は「能力が多少劣っている」などいえないような、すばらしいサスペンションの作りこみを見せる車種が存在します。工業製品として世界最高水準の自動車を製造するトヨタの手法で、胸が高鳴る魅力的な名馬は本当に作れないものなのでしょうか?
(参考写真:トヨタコンフォート、トランクルーム内のLPタンク交換作業の一コマ。走行距離は70万キロに及ぶ管理車両もあります。)