「ギアボックスが壊れる前に停めました。JAF待ちです。」
とメール連絡が入り、平成11年式 GF-916S2B アルファスパイダー 自走不可能でレッカー搬送されてきました。以前からデフギア付近からと思われる異音がしていましたが、急激に症状が悪化した様子です。ミッションケースの合わせ目が開き、オイルも漏れ出す重症。デフかギアかわかりませんが、ボキボキ言いながら店の中に搬入しました。
赤いエンジンハンガーをセットしてサスペンションメンバーを離脱後、トランスミッションをエンジンから分離します。30kg近くある重量物ですから慎重に作業します。
一見したところオーバーホールは難しく、トランスミッションの交換しかないでしょう。
ところが国内の中古ミッション在庫は希薄、使用歴も不明かつ高額なものですから、海外にその視点を向けました。
英国のエンジン、ミッションを多数扱う業者にコンタクト。内部確認した品物をリーズナブルに提供してくれるそうです。日本への発送も問題ないとのことで、その他クラッチの部品など必要なパーツとともに取り寄せの手続きを開始しました。
手配を開始して約1ヶ月。成田にトランスミッションが到着。
通関手続きを経て、UPS配送車で成田着の翌日には店に到着します。
何重にもなったダンボール箱にガサッと入れられたトランスミッション。液体シールがケース合わせ目からはみ出ていて、内部の確認を実施しているのは間違いなさそうです。
元のトランスミッションから移植しないといけない部品があったり、ベルハウジングのリブの付け方に微妙な差異があったりします。適合確認及び、搭載準備を入念に進めました。
トランスミッション搭載前にエンジンのバランスシャフト後端に位置するグロメットの交換。twinspark2.0にあるこのグロメット、とにかくオイル漏れがひどい。追加処置をしてオイル漏れを防止します。
↓クラッチ本体部品の組み付け…
そして、トランスミッションとエンジン結合完了。ところがデフサイドのオイルシールに挿入不良が…海外の部品業者が内部確認後、新品のシールを打ち込み過ぎていたようです。この時点で発見してよかった。
↓さらにサスペンションメンバー装着…
ようやくすべての部品を組みつけ、トランスミッション換装完了です。
シフトレバーをファーストギアに入れた瞬間、今までにないカッチリした節度感が手のひらに伝わります。同時作業したシフトリンケージの部分修理の甲斐がありました。
そして店を出て千本通りを南下し、異常がないことを確認しながら徐々に速度、ギアを上げて…異音はすっかり消え、爽快なアルファサウンドに室内が包まれます。
入庫から1ヶ月と1週間、入手困難な部品の手配から組み付けまで、オーナー様はじめたくさんの方々のご支援とご協力のおかげで息を吹き返したスパイダー。皆様、ありがとうございました!
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