きっかけは、法定12ヶ月点検でした。
平成14年式 GH-GDB(アプライドB) 4WD 6MT 走行距離 70,000km
特に不満は無いけれども、総点検をしてほしいというご依頼でした。
まずはいつものように試運転。僕が一番気になったのはリアサスペンションの動揺が収まらないことでした。STiという特別仕様だからでしょうか、リアのコイルスプリングやスタビライザなど、いわゆるバネ系が強力で、バネ振動を減衰するショックアブソーバの能力が完全に不足しています。
舗装の良くない山坂道で試運転しますと、突き上げ感が強く短時間で体に疲労が蓄積する状況でした。これはオーナー様にも実際に体感していただきました。間違ったサスペンションの改変で、バネやスタイビライザを硬くするというのがあります。
「硬い=しっかりする」
のでしょうか?硬くしたバネは確かに大きな力でないと縮まりません。しかし、その強いバネは、走行時、車重や路面からの衝撃でいともたやすく縮まります。そしてその縮んだバネが元の状態に戻るとき、大きな減衰力が無いと単振動が収まりにくいのは明白ですね。とにかく減衰力不足に陥っているクルマが非常に多い。このインプレッサもその典型でした。
費用は相応に必要ですが、お客様にご検討いただき、しっかりとしたショックアブソーバを装着することにしました。
今回のチョイスはKYBのグラベル競技用、ノーマル形状のショックアブソーバです。安い車高調整式サスペンションが買える価格です。しっかりとした構造のショックアブソーバはこのような価格設定なのです。
そして、しっかりとしたショックアブソーバがついた車高調整式サスペンションは、多くの車高調整式の3倍以上の価格で非常に高価なものです。手の届く範囲だからと、安易に車高調整式に手を出さないように注意しなければいけません。
ストロークはフロントで約40mmアップします。
↓STiノーマル
↓KYB グラベル用装着後
スプリング変更はしませんでしたので静地車高にはほとんど変化がありません。伸び側のストロークがアップしたことでとても余裕のある足回りになります。
装着後、同じ山坂道で試運転しました。ピーキーな動きだったのがしっとりと路面を捉えます。速度が高くなるほど姿勢がフラットを保つ理想的な足回りです。印象的だったのはきついカーブ進入前にある「ゼブラ」の振動がほとんどクルマに伝わらないこと。とても安定してブレーキを掛けることができますし、ハンドル操作が大きくなる場面でもありますから、余裕ができますね。
僕は何度も申し上げていますが、ショックアブソーバの変更で一般道走行車の足回りセッティングはほとんど完了します。バネやスタビライザの変更はしないか、もしくは味付け程度の変更で十分です。場合によってはスタビライザは取り払っていいかもしれません。
お客様は「ショックを換えてアイドリングが静かになったのには驚いた。まるで車を乗り換えて別の新車に乗っているみたいだ。リア席にも座ってみたけどこの乗り心地なら十分眠れる。」ととてもよい評価をくださいました。高速道の走行においてもかなりの変化があると思います。遠方へ帰省されるとのことでしたので、高速走行時の感想もお聞かせください。この度はたのしい仕事をご依頼いただき、本当にありがとうございました。ちょっと昔を思い出しました(笑)
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秀夫 says
やっぱりショックは重要ですね
僕はワゴンR(MC21)に乗ってるんですが、走行17万Km過ぎました。
お勧めのショックはありますか?
よろしくお願いします
たけし says
現在生産しているか未確認ですが、スズキスポーツのショックアブソーバがいいと思います。
匿名 says
回答ありがとうございました。 スズスポは無さそうなんで、カヤバの純正形状を考えてます。