「この前入れてくれたエンジンオイル、むっちゃ寝られるぞ!!」と、懇意のお客様から喜びの(?)お電話をいただきました。
エンジンオイルで安眠???
何のことかと思いましたが、よくよく伺うと、遠方への釣行が頻繁なお客様。車中泊のためにエンジンを掛けたまま仮眠されたときのことをおっしゃっていました。
平成19年 トヨタエスティマ DBA-GSR50W 2GR-FE 走行距離60,000km
それまで無難な純正エンジンオイルを使用していたのですが、前回からオイルの銘柄を変更しました。不快なノイズが低減し、結果安眠となったわけです。
自動車に使用されている部品については消耗品も含め、僕は基本的に純正を使用していますが、エンジンオイルについては少し見解が異なります。
僕は前職で潤滑油関係の仕事をしていた時期がありまして、そのころは発電所のタービン油の評価をしていました。オイルの性状を測定するために、とある財団法人の実験室の設備をお借りしていたときのことです。隣接する建屋で国内有名自動車メーカーの純正オイルの評価をエンジンベンチテストしているというので、興味もあって少し見学させていただきましたところ… そこには目を疑う光景が…
なんと、当時20年以上も前に開発されたエンジンがベンチに掛けられていたのです。そのエンジンでオイルの何を評価していたのか、それは僕の知るところではありませんが、そんなクラシックエンジンで何がわかるの???というのが正直な感想でした。
もちろんすべての純正エンジンオイルの開発過程をそんなクラシックエンジンで行っているわけではないでしょうが、一部でもそのような不自然な光景を見ただけに、純正オイルへの信頼が揺らいだのは事実でした。
ところで、あなたは「アプルーバル制度」をご存知でしょうか?
国内自動車メーカーは「純正オイル」と称して補修部品カタログなどにラインナップしています。ところが、海外では市販のエンジンオイルを自動車メーカーが厳しい基準で認証するアプルーバル制度を採用していて、それを純正相当品としています。
高い技術力を誇る欧州自動車メーカー各社でさえ、エンジンオイルに関しては自社開発しないのには理由がありそうです。
簡単には真似のできないノウハウの蓄積を自動車メーカーが認めているのかもしれません。
冒頭のお客様の感想は、老舗メーカーのエンジンオイルには、SAE、 API、 化学合成油、鉱物油、VHVI など表面的な表示だけでは決まらないフィーリングや性能があることを実感した一つです。
今回使用したエンジンオイルは100% VHVI の5W-30。
VHVIは普通の鉱物油に比べて粘度指数向上剤の添加を減らせるのが特徴です。
スラッジの原因物質が少なくなるのはとても安心感があります。
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