前回記事『ユーザー車検のススメ(その1)』の続きです。
では、ここで改めて、自動車整備業者に車検を依頼した場合にかかる主な費用の内訳を見てみましょう。
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①法定24ヶ月点検料
②整備代(油脂類、部品代、及びそれぞれの交換技術料)
③継続検査代行手数料
④諸費用(自賠責保険料、重量税、印紙代)
レガシィのオーナー様はご自身で継続検査をされましたので③の継続検査代行手数料を節約したということになります。また、ユーザー車検をすると、諸費用をご自身で各窓口に直接支払いますので、車検をするのにどのような費用が必要か「実感」できます。
そして車検総費用のほとんどが諸費用(保険会社と国の利益)、部品代(部品商の利益)であり、自動車整備業者の利益である技術料は総費用の一部でしかないということも浮かんでくると思います。
自動車整備業者が諸費用を立替えるのが一般的ですが、お客様がお支払いされるときに多額の車検総費用を一度に頂戴しますので、「自動車屋にたくさん支払った」という感覚しか残りません。だから僕は、諸費用の支払い先や金額、車検総費用の内訳を「実感」して欲しいと思います。僕がお客様に一番知って欲しいのはこの部分かもしれませんね。
さて、レガシィのオーナー様は①点検、②整備をプロの僕に依頼してくださいましたが、さらに節約をと考えると、使用者自身が点検整備を行うという本来の選択肢があります。でも、現実的に整備士でもない一般の方が十分な自動車の点検整備ができるのでしょうか?
『点検整備記録簿』というものがあります。
点検整備記録簿が唯一、①点検や②整備の履歴を記すものですが、記録簿の記載内容からは、点検や整備の実態は証明できません。継続検査時に添付し、2年間保存が義務づけられているだけのものです。多くのユーザー車検受験者は項目に従って簡単に点検を実施し、この書類を作成します。そこに書かれている内容が本当かどうか、それは作業者しか知り得ないこと。
すなわち、点検や整備を「したことに」もできるという恐ろしい可能性が浮上します。
中古車で「記録簿完備」なんて文言、僕には空々しく聞こえて仕方ありません。
しかし、車検(継続検査)の手続き上は点検整備をしたことにできても、実際のクルマはそうはいきませんよね?何度も言いますが、車検(継続検査)を一度でも自分で受検するとよくわかります。検査の項目はすごく限られていて保安基準に適合さえしていればあっという間(10分程度)に終了です。受検直後にエンジンが壊れようがブレーキが効かなくなろうが、受検時点で保安基準に適合していれば車検証の有効期間が2年与えられるのです。
信頼できる整備士に点検整備の依頼をする重要性がお分かりいただけたでしょうか?
世の中には点検整備が不十分と思われるクルマがたくさん走っている可能性があるということです。
次回『ユーザー車検のススメ(その3)』に続く。
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