三菱 ギャラン AMGです。極めて良好なコンディションを保たれた車両で診断に気合いが入ります。お客様の訴えは、毎回ではないが、時々エンジン始動直後停車中にパワステが効いていないように重くなるということです。僕の以前の記事をご覧になられて遠方よりご来店いただきました。インターネットがあってこその出会いに感激しています。
平成2年式 E-E33A 4G63 4AT 走行距離69,000km。
現車を確認しますと、こちら大変珍しいシステムで、油圧パワステに電子制御をプラス、SPORTとNORMALのモード切替スイッチがサイドブレーキレバーの横に配置されています。車速に応じてステアリングラックに仕込まれた反力発生器への油路を形成するというもので、擬似的にステアリングの手応えを与える装置のようです。
モード切替で手応えが発生する速度域が変わります。例えばSPORTモードでは低い速度30km/hから速度が上がるにつれてステアリングの手応えが大きくなりますので、市街地走行でもかなり重めのステアリングフィールになります。
入庫時の点検では、主要な油圧部分には目立った不具合はみられませんでした。ステアリング操作も軽快で不具合がありません。異常が発生するのはエンジン始動直後の車速0km/hということですので、油路の切り替えが行われていない状態のようです。(ちなみに、油路切り替えのソレノイドに通電しない状態はステアリングが重い状態です。)
コントローラの不良か、ソレノイドの不良か、バルブの不良か原因の特定が難しいです。推測ですが、電源が入る直後(エンジン始動直後)は不安定ですのでコントローラの電源部には何らかの遅延回路や安定回路が組まれている(設計されている)と思います。遅延や安定のために電解コンデンサを使用していることがあります。
お車の年式から電解コンデンサの容量抜けは間違いなく起こっているでしょう。原因探求の前段階としてお客様のご了承を得てコントローラーのオーバーホールを実施することにしました。残念なのはお預かりした5日間、一度も症状に遭遇しなかったこと。もう少し頻繁に症状が発生すればソレノイドへの通電をモニターすることで、不具合原因がコントローラかアクチュエータか切り分けできたかと思います。
パワステコントローラはオーディオの奥に配置されています。
基盤を取り出し、電解コンデンサの数と種類を確認。特に深刻な電解液のリークなどはないようです。
早速、電子パーツ店に向かいます。
一つずつ丁寧に作業します。耐熱85℃品が用いられていましたが、交換したものは105℃品です。
元通り組み付け、動作に異常がないことを確認。念のため翌日の冷態時にも動作確認、その夕方にも動作確認、いずれも好調でした。時々しか出ない症状とのことですので一旦お客様にお渡しし、経過を見ていただくことにしました。
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カクシカおじさん (44のおじさん) says
京都にはまだ電子部品の大きなパーツ屋さんがあるのですね。
私のいるところの地方都市には20年ぐらい昔はあったけど、今は全滅です。電子部品購入はもう大阪へ出るか通販しかなさそうです。
たけし says
カクシカおじさんさん、こんばんは。
また数字が一つ増えていますね。こちらに初めてコメントいただいてから2度目ということは長くお付き合いいただいている証拠で、大変うれしく思います。
京都にも昔は何軒かありましたが、今はマルツだけです。当然品揃えに限界がありますので、今回のような電解コンくらいなら問題ありませんが、少し特殊なものになるとネット通販を利用しています。