ダイハツ ミラです。朝の最初の始動時など、一晩程度の放置でパワステが効かないということで入庫しました。
平成6年式 E-L500S FF3AT 走行距離30,000km。
パワーステアリング装置は電動アシスト式です。ステアリングラックに電動モーターが内蔵されています。
ずいぶん前になりますが、L200Sミラは、この電動パワステのコントローラをよく交換しました。
さて、今回の症状もよく似ていますが、朝始動時にパワステが効かなく、すぐにエンジンを再始動すると調子がよくなる。しかし再始動をしないと次にイグニッションをオフするまでパワステが効かないというものです。
難しいことはよくわかりませんが、コントローラのマイコンが起動していない様子です。
低年式車両のECUでは、電解コンデンサの液漏れに遭遇します。
早速取り外し、内部を確認します。ところが、目だった電解液の漏れはなく、目視の範囲では良好。
ここで今一度考えてみました。しばらく放置するとパワステコンピュータの起動用件が満たされないということは、起動時何らかの状態を決定する電解コンデンサの容量低下が原因なんじゃないかと…
すなわち電解コンも充電池と同様で満充電状態が保持されにくいことが起こると考えると理屈に合うんじゃないか… ふと思いついたのです。今一度、電解コンを見なおします。
すると、同じ100μFでも耐圧によって大きさがまるで違うのがあります。100μFというと電解コンでも大きな容量になりますが、耐圧が10Vのものはとても小さいです。
小さいということは電解液も少ない=抜けの影響が出やすいと単純に考え、耐圧50Vの別の電解コンと付け替えてみることにしました。
結果、経過は良好。予想は的中だったようです。
古い中古部品は同じく経年変化しているでしょうし、新品は自動車全体の劣化を考えると価格のバランスがよくないと思います。
基盤の電解コンを交換する修理は、中間的で一番バランスのよい処置だと思います。
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狸おじさん says
電解コンデンサは消耗品です。高級オーディオでは、調子悪くなると総取り替えですね。サーバ、PCなども最近は液漏れなしの対策品ですが、その前だと夏2回で最悪パンクです。当然容量抜けも発生します。
http://www.apiste.co.jp/enc/concept/images/enc_pdf_01.pdf
本音を言うと、ちょっとだけ高級なコンデンサを採用しておけば、問題は出ないケースが多いと思います。
対策品の例
http://www.rubycon.co.jp/news/20080618
たけし says
狸おじさんさん、貴重なコメントありがとうございます。
ということは、電子制御化が進んだ自動車の寿命は電解コンデンサで決まると言っても過言ではなさそうですね。
うまく設計はしているでしょうが、ブレーキペダルが直接マスターシリンダを押していないような電子制御の一部のクルマは末恐ろしい感じがしてなりません。
狸おじさん says
温度が低ければある意味半永久的なのですが、日本の高温多湿の環境では、厳しいと思います。それに対策品は出てきていますので、新車の故障は減る方向でしょう。問題はそれ以前の車ですね。定期的、どっかで対作品への予防交換をしたほうがいいと、個人的には思います。
電子機器の場合には目で見えませんし、デジタル回路の場合には、誤動作してから発覚するのが困りものです。昔のメカ系だと徐々に悪化するので気がつきましたが。あとは2重、3重にするしかないでしょうね。3つあって同時に故障は非常に確率が低くなります。
狸おじさん says
測定器を見つけました。まだ評価はしておりませんけど。
http://web.kyoto-inet.or.jp/org/infojob/measuring_instruments/esr60e1
不良電解コンデンサ問題に対応
PCマザーボード等に最近多発している海外製電解コンデンサの劣化によるトラブル解決に最適です。
コンデンサの外観で判断できない場合でもESR60でチェックすれば、確実に不良品を検出できます。
部品仕入れ部門では将来のトラブルを未然に防止するために、製造やサービス部門等では問題をすばやく解決するために、エレクトロニクス業界では必携の製品です。簡単に使えるためPCを自作される方など個人での利用も増えています。
たけし says
情報提供、大変感謝いたします。
偶然ですが、こちらの測定器の取り扱い店、当方のすぐ近くです。
狸おじさん says
取り扱い店が近くですか。1回はデモでどんなもんか試験するとかはいかがでしょうか。よければ見当するとかで。(笑)
しかし、電子仕掛けが多いと故障も様変わりなのでしょうね。電気自動車になると電池、制御関係(電力)、モーターなどなどでまるで電車の整備のようになりそうな予感がします。
kyunkyun says
はじめまして!
コンデンサの寿命と温度との関係について、ものすご~く素朴な疑問があります。
コンデンサの寿命は、
「機器を使用している時の周囲温度」 に左右されるのでしょうか?
それとも、
「機器を使用していない時の周囲温度」にも、左右されるのでしょうか?
例えば、沖縄と北海道とでは使用していない時の温度も違うと思うのですが、その場合のコンデンサの寿命はどうなのだろう?
例えばコンデンサが、まだ機器に取り付けられる前、つまり部品として保管されている場合、その保管されている温度によっても寿命は変わってくるのだろうか?
・・・などの疑問があります。
ぜひぜひ、教えてください!
たけし says
kyunkyunさん、こんばんは。
残念ながら僕は電解コンデンサを含めて電子部品の専門ではありませんので、ご質問の内容に関しては私もとても興味があるところです。
温度だけでなく湿度も重要な要素でしょうし、使わずに放っておいたリモコンの乾電池が液漏れするように、通電せずにいる放置期間も寿命を縮める要素なのかもしれません。
ご専門の方や、この方面に明るい方のコメントをお待ちしております。
12号電探 says
コンデンサの容量は、電極の面積、電極間の距離、電極間にある不導体の誘電率で決まります。
電解コンデンサは、その構造から壊れやすいものです。
電極となるアルミ箔の表面をエッチングして、面積を増やしています。
更にその陽極側表面を酸化して、不導体の厚さを薄くしています。バイポーラ電解コンデンサは陰極も酸化します。
他のコンデンサに比べて大容量なのは、電極間の距離がこのごく薄い酸化膜だからです。
内部の電解液は、基本的に導体です。
電解液の誘電率が高いと錯覚している人は、電気屋さんでも多いです。
では、何故壊れやすいか?
1つ目は、酸化膜が薄いので衝撃や振動に弱いです。
電圧をかけ電流計接続して、指ではじくだけで酸化膜が壊れて電流が増えるのが確認できます。
しかし電解液は酸化作用がある組成なので、使っていると修復されます。
2つ目は、封入されている電解液が元々少ないです。
高温にさらされたり、リプル電流による自己発熱で減少し容量が少なくなったりします。
高温になるとガス化して、ゴムの封口部分から出て行きます。
酸化膜と接触している導体が減るので、電極の面積も減り容量も減ります。
電解液が染み出している場合は、この高温状態になった場合と、電解液の成分が不適切でゴムを侵している場合があります。
車やポータブル機器には、高温に強い105度タイプ(一般のAV機器は85度タイプ)が使われます。
また低温用低インピーダンスタイプも使われます。
電解液の成分の1つは不凍液でもあり、マイナス温度の室外でも動作してくれないと困るからです。
私は20年以上前の電解コンデンサもたくさん持っていますが、未使用品の容量はほとんど減っていないです。
松下、エルナ、ニチコン、日ケミ、トウシンどこも問題ないです。
当時はあまり小型化されていなかったので、電解液に特殊な成分が含まれていなかったせいもあります。
hiro says
s-100vの電動ファンがなくて困っています。
トラックのとか部品番号違いますが、
流用できないのでしょうか?
ちなみにバンタイプでツインカムのDOHCのタイプです。s200タイプだったら部品も今後増えてきてたすかるんだけどな。ご存知でしたら
教えて下さい。 yahooオークで落札した
ハイゼットバン水温計上昇、電動ファン回らず
現在、整備工場待機中です。
たけし says
12号電探さん、貴重なコメント光栄に思います。
詳しくご存知の方から、当方では得にくい情報を頂戴し、今後の修理(仕事)に大変有用でうれしく思います。
今後ともよろしくお願いします。
43のおじさん says
久しぶりにコメントです。
PCも、当方でも自作した真空管式ステレオアンプでも、そして自動車でも家電でも、本当にこの電解コンデンサーの耐久性には悩まされますね。でも自作ステレオアンプの場合は常時使わないし、部品の間隔はスコスコで、しかも放熱対策もとっていて、しっかりした大容量高耐圧の巨大なブロック電解コンなので、20何年もノートラブルですが、そろそろ新品にしたほうがよいのかもしれません。
PCのマザーボードやPC電源の高品質なものは、日本製のしっかりした固体型の電解コンを使うようになってから、かなりトラブルが減ったように思えます。
話は変わるのですが、当方の家で今年6月末まで使っていた、購入当時安かったビーハーエアコン、とうとう2度目の室外機故障にあってしまい、もう我慢できなくなり、即新品のエアコン(日立)を買いにいきました。10年保障もつけましたが、猛暑になる直前だったので、即取り付けしてもらい、今年の激夏は無事快適に?乗り切れました。
でもあとでいろいろ調べると、この猛暑により、エアコン内の部品が壊れて、エアコンを買いに行ったが品物がなく、しかも修理もすぐにはできず、といったようなことが、お気の毒ですが大量に発生していたようですね。
ところで、その2度故障したビーバーエアコンの室外機のインバータ制御基盤、確かニチコン製だったと思うのですが、高耐圧大容量の電解コン、インバータに直流電源を供給するための平滑用コンデンサーなのですが、なんと耐熱温度が65℃!となっていたのですよ。
真夏のいちばん暑い時期に、さらに冷房運転により熱い熱風が室外機ファンから吹きだすのに、この耐熱温度はないだろう、と1度目の故障のときに初めて基盤を見てびっくりしました。そのときは基盤をごっそり新品交換しましたが、さすがに2度目の故障のときには、すでに購入後7年を経っていたこともあり即破棄処分を決意しました。
車のエンジンルームの中も、エアコンの室外機以上に高温になるし、しかも冬場の保管中は冷えるしで温度変化も激しく、しかも振動も加えられるので、ハンダの劣化とともに、部品の劣化も相当なものだと思われます。
しかも家電のエアコンは固定された場所に設置されますが、車は動くものなので、危険度もより大きく、昔のように(バイクのキャブ車みたいに)機械仕掛けなら、目で見てわかりますが、油圧ポンプを使う旧来のパワステよりも、電動パワステのほうが、経年に対する信頼性が乏しそうですね。
棺桶号と比喩された、凝りすぎた設計のレクサスのステアリングトラブルも記憶に新しいところですし。
たけし says
いつもコメントありがとうございます。(ハンドルネームの数字が一つ増えてますね…)
管球アンプですかぁ。私も完全自作というわけではないのですが、2A3のキットを10年ほど前に組み立て、自作バックロードホーンで鳴らしていますよ。
電子機器が味気ないものになりつつある現代においてフルアナログの機械は心に安堵をもたらしてくれます。
さて、我々修理派(?)にとって悩みの種の電解コンデンサですが、今後も思わぬところに出現の予感がします。勘を働かせて、うまく付き合っていきたいものです。
43のおじさん says
たけしさんも結構凝っていますね。
直熱管の2A3と自作SPですか。
当方の社会人になりたての頃造ったアンプは、誠文堂新光社から出版されていた、金田幸之助さん著の『タマアンプHi-Fi名器の再現を』の回路図と製作記事を参考にして製作しました。
自作プリアンプはトーンコントロール回路付きの、ラックスマンA505キットを流用したもので、当時すでにキット自体は販売終了されていたので、回路図を手配していただき、フロントパネルとカバー付き市販ケースに板金加工して製作しました。
一般のCR型増幅回路方式とは違い、SRPPというプッシュプルの上下2本を使用して一段増幅する形式ですが、AUX入力からでは、12AU7での2段増幅でも出力電圧が高すぎるため、すぐに1段増幅に変更しました。増幅段数が1段減れば音質が大幅に向上して本当にビックリしました。
パワーアンプの方は、同じ本のGEの傍熱管6550AのPPUL形式(ウルトラリニアー方式の40W×2)のものを自作し、今も浮気することなく、ずっと使い続けています。良質な出力トランスを使ったので、自重30kgにもなります。鈴蘭堂の前面パネル兼カバー付きの頑丈なケースを使用してラックに入れています。
結局アンプはこのプリとパワーを1つずつ造ったのみで、故障は6550Aのスクリーングリッドにつないだ保護用抵抗器470Ωが熱で焼け切れたのが唯一で、酸化金属皮膜抵抗に変更して容量を倍増し、その後はノートラブルです。
あと熱でハンダがボロボロになってきたのでハンダの付け直しをしたのと、出力管に供給する-バイアス電源用のチューブラコンデンサーの故障が不安になったので、6年ほど前に新品交換したぐらいです。
増幅素子単体の性能では、トランジスターの方が圧倒的に優れていますが、音声信号の使用周波数レベルでは、AUX入力から、プリー経由でもたった4段で、実用上十分すぎるほどの出力を得られるのですから、Trアンプに比べて音質が良くなるのも当然です。逆にいえばあのTrアンプのあまりにもたくさんの素子の数を見れば、音質が悪くなる(生々しさがなくなる)のはいた仕方なさそうですね。
ただし現在はタンゴのトランス(当方のはFW100-3.5を使用)は製造をやめ、良質な出力トランスが入手しにくくなっているこのご時勢ですので、今造るなら回路がシンプルな電圧増幅素子のFETで製作することでしょうね、きっと。
ちなみに私の愛用スピーカーは、今はなきソニーのアルミハニカム方式の平面SP APM-66ESです。こちらも年季が入っていますが、エッジが傷むこもとなく、ほとんど振動音ですが20Hzから20000Hzまで、今もちゃんと聴こえます。20Hz前後の音は部屋の壁が揺れるので、初めて聴く人はたいがいビックリします。
社会人になってアンプを製作したころ(二十歳頃)を思い出してうれしくなり、聞いて(見て)もらえるお人がいて、つい長話をしてしまいました。それに年もまた一才増えてしまいましたよ。
ところで、以前お聞きした軽ターボで21万2千キロも走ったアトレーワゴンは結局廃車にし、ムーヴコンテカスタムRS・2WDを新車購入しました。
RSはちょっと扁平すぎるタイヤ(165/55R15)がついているのと、フロントガラスが立ちすぎで多少視界が悪いのが欠点ですが、前後にスタビライザーも付いているので、カーブでも振られることなく、アトレーの1.5倍前後は燃費が延びるし、エアコンもよく効きシートも快適になって、まあ満足しています。
あと残りは、中古のダイハツ用もしくはブリジストンから出ている軽用14インチホイールを用意して、スタッドレスタイヤを準備する必要があるようです。
いいじま says
ダイハツのムーブL602Sで同様のトラブルに直面しています。
私も100μF/50Vに交換してみようと思いましたが、3箇所(3個)用意すれば良いのでしょうか?
たけし says
いいじまさん、こんばんは。
この記事の車両は100μFの小さいコンデンサは3つありましたので、3つ耐圧50Vのものに交換しました。
この記事にした車両は「運良く」直ったのですが、同様の症状でしたら試してみる価値はあると思います。
いいじま says
たけしさま、返答有難う御座います。
JB4気筒ターボエンジンが力強くお気に入りで、既にオートマ車所有なのですが、最近ご縁があり、マニュアルのムーブを入手しました。ボロなんですけど とってもかわいく思えています。
パワステ異常に気づき どうしたものかと 検索で情報集め・・・、比較的すぐの2件目にたけしさんの整備レポートにたどり着くことが出来、ラッキーでした。
飯嶋は埼玉は三郷というところでして、秋葉原はそんなに遠くもないのですが、ヤフーショッピングサイトに、コンデンサー10個組ですが、300円弱でありましたので発注しました。送料込み500円弱です。
先日、飯嶋もコントローラー内は目視しましたが、異常は感じられず、閉じ復元してしまいました。
コンデンサーが届いたら付け替えてみます!!!
この度は有難う御座いました。
たけし says
飯嶋さん 差し支えないようでしたら電解コン交換後の様子などお知らせいただけると大変うれしいです。うまく直るといいですね。
飯嶋 says
こんばんは、本日、交換作業出来ました。
交換後、今日はわずかな時間しか動かすことが出来ませんでしたが、終始問題なく作動しております。
来週中には少し長い時間を動かす機会があり それで大丈夫ならまたご報告致します。
飯嶋 says
こんにちは、本日、こまめにエンジン停止、始動を繰り返すことが出来ました。
今まではこれだけの停止・始動を繰り返すうちのどこかで必ず不具合の症状が現れておりましたが、終始途切れることなく作動です。
なんとなく少し違和感はありますが、パワステの恩恵はしっかり受けられる状況です。
(なんとなく違和感・・・と思うのは、コントローラーが無理やり起動しているような・・・
タイヤの空気圧が異常に低いような感じを少しだけ感じます。)
この度は飯嶋にとって超!貴重情報を記事に取り上げてくださり、とても感謝しています。
コンデンサの脱着は初の経験で 良い経験が出来ました。
。。。ありがとうございました。。。
飯嶋
たけし says
飯嶋様
お知らせ感謝いたします。
完全復帰とまではいかないようですが、概ね良好ということで費用対効果は十分得られた感触ですね!
私の記事がお役に立てて何よりです。
また何かありましたらコメントよりお知らせください。
飯嶋 says
こんばんは、費用対効果どころの騒ぎではないですよ!!
飯嶋にとってもブーヴ君にとっても得たものはとても大きいです。
ムーブ君にとっては たけしさんに五体満足の体を与えてもらったようなもので オーナーさんに嫌悪感を与えないわけですから より大切にしてもらえるってことなどにつながっていますし、飯嶋にとっては理数系整備士さんとそうではない自分との大きな違いを良い意味で感じさせてもらうと共に、コンデンサ初交換という とてもよい経験をさせてもらえる機会になりました。
ブーヴも飯嶋も 言葉にならぬ感謝を感じています。