前回『特別対談 「コルソマルケ×修理屋たけしくん」 ~クルマの楽しさと、共通する仕事観~ (前編)』の続きです。
『押す派』? それとも『引く派』?
コルソU氏: ところで、たけしさんはハンドル「押す派」ですか?
たけし: 押します。 ん?? いや、引くかなぁ。もしかすると両方? 僕のハンドリングは、いわゆる「送りハンドル」です。例えば、深めの右カーブやったら右手を左手側に迎えに行って、最初は右手で引いて、左手は補助的に押す。サーキットでない一般道は、カーブ中盤でいろいろなことが起きますから、できるだけホームポジション付近になるように握りますね。調整時は押すことが多いです。
コルソU氏: たけしさんは土系ですよね?土の上走ってた人は、確かに「引く派」が多いです。おっしゃるようにラリーではカーブ曲がってる時、何が起きるかわからないですもんね。僕はどっちかというとサーキットやから、「押す派」です。手のひらをハンドルに直角に当てる感じで押し回すと手首の回転をうまく利用できるんです。ぎこちなさが無くなって滑らかに回せるから、路面からのインフォメーションを捉えやすいですし、回す量も決めやすいんです。
たけし: なるほどねぇ。
スナップオンO氏: 先ほどから興味深く聞いてたんですけど、ハンドル回すのに、押す「派」とか、引く「派」とか、そんな派閥があるんですか… 僕は、まーーったく意識したことありませんでした(笑) 僕のハンドリングは、そうですねぇ、「そこに山があるから」的で、「そこにカーブがあるから」って感じですわ。
コルソU氏: だってO君、スナップオンのバンやろ?(水平寄りのハンドル回す仕草で)こーんな感じやん。
スナップオンO氏: いえいえ、ゴルフとかも普通に乗ってますよ。
コルソU氏: そか(笑) ま、ハンドルの回し方は人それぞれですからね。けどね、やっぱりモータースポーツ経験のある方は全然ちゃい(違い)ますよ。サーキットでもすぐわかります。
たけし: 何かの機会にご一緒できたらいいですね。
コルソU氏: 是非是非!
タイヤ・ホイール談話 ~タイヤ製造から手元に届くまでと、その組み方~
コルソU氏: 最近、某国立大学の先生とお話しする機会がありました。その先生は、たくさんのタイヤメーカーと関わりがおありで、印象に残ったのはね、タイヤの性能を決める要素はいろいろあるけど、ゴムの「練り」工程が最終製品の出来を凄く左右するんですって。
たけし: へぇ、そうなんですね。タイヤは自動車の性能の大きなウエイトを占める部品ですから、とても興味深いです。
コルソU氏: たけしさんはタイヤ組む時、ホイールとの位相を変えてるって記事をよく拝見しますけど、あれ、一度組んで良くなかったら何度か組み直すってことですよね?
たけし: ええ。でも何度も組み直すとタイヤにストレスになりますから、できるだけタイヤの負担にならないように気を付けています。
コルソU氏: そんな作業してくれるとこ、聞いたことないですわ。なぁ?
コルソS氏: 無いです無いです。ポンと組んでウエイト貼って、はい終わり!って(笑)
コルソU氏: 僕のピカソ(シトロエン)のタイヤ、たけしさんに組み直してもらおうかなぁ。高速で微振動が取れないんですよね。
たけし: 何でですかぁ(笑) Uさんで取れへん振動、きっと取れないもんなんでしょ。
コルソU氏: 確かに、タイヤは工場から、手元に届くまでの輸送経路、保管状態も含めていろいろよくない状況があるって聞きますからね。僕のは違いますけど、型がズレた粗悪タイヤ、昔ありましたよね。
スナップオンO氏: ちょ、ちょっと待ってください。タイヤってプラスチック製品なんかと一緒で射出成型ですよね?何で型がズレたようなタイヤなんかができるんですか?
たけし: いろいろな形状の型は使いますけど、タイヤの場合は蒸し釜のイメージです。「生タイヤ」って言ってレース用のスリックのようなパターンがないタイヤの原型を、周りから型で押しつぶすような感じで成型します。これはゴムに練りこんだ硫黄を化学反応させてゴムの強度を増す工程で、文字通り「加硫」って言います。たくさん分割された型を使う場合は、そういったズレが起こることがあるんだそうです。
スナップオンO氏: へぇ。初めて知りました。その工程でタイヤの等間隔のパターンができるんですね。
たけし: 等間隔ちゃいますよ!それはね…
コルソU氏: 等間隔ちゃうで、O君!あれはな…
スナップオンO氏: お二方とも、タイヤのことになると食いつきが違いますね(笑) 僕がポイって餌投げたら、グイって前のめりに来て、パクッ!って(大笑)
コルソU氏: (笑) 僕、高校の時からタイヤが大好きでね、親父の車の助手席で前のクルマのタイヤ見て銘柄当てるの得意でした(笑) それと、いつかタイヤ工場見学の希望者を募ってたことがあったんですけど、もう「ハイハーイ!行きますー!」って必死だったこと今でも忘れません。
たけし: タイヤは本当に奥が深くて面白いです。僕もそんな見学の機会があったら是非行ってみたいです!
次回『特別対談 「コルソマルケ×修理屋たけしくん」 ~クルマの楽しさと、共通する仕事観~ (後編)』に続く。
↓このお話のときの飲み物です。京丹後発。イギリス人杜氏フィリップハーパーさんが情熱込めて醸す一本です。
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