先日交換したエンジンマウントインシュレータに類する構造の、サスペンションアームブッシュ。
サスペンションアームはゴムのブッシュを介してボディに取り付けられているのが一般的で、路面からの入力を緩衝するほか、ステアリングやサスペンションの動きが過敏になりすぎないようになっています。
レース場など特殊な路面環境、かつハイグリップタイヤで競うような車両では、路面からサスペンションアームに伝わる力が大きく、それに伴ってブッシュのたわみが大きくなりますから、サスペンションアームの動きの曖昧さが忌避され、ボールジョイント式などの精緻な作動部品に置き換えられます。
しかし、一般道の路面はレース場とは全く違って、タイヤのグリップ力もほどほど(それでも近年は車両側の性能が向上して車の姿勢がブレイクするようなことはありませんが)で路面はデコボコ。すべての動作支点がボールジョイント式になったピーキーな仕様ではとても普通に操作できません(市販車でも一部ボールジョイントは使用されています)。多少の「たわみ」が重要で運転を容易にしているのです。
しかしゴムは劣化します。非常に優れた素材を使用するトヨタ車でも、さすがに走行距離が40万キロ近くなると正常なサスペンションの動作から程遠くなり、ブッシュの適度な「たわみ」は、徐々に曖昧さを増し、加減速、操舵が気持ちよくなくなってきたとのこと。ショックアブソーバの定期交換後も以前ほどの感動がないということで、サスペンション全体の点検と整備を実施することになりました。
平成15年式 UA-SCP10 1SZ-FE 5MT 走行距離 373,000km
まずはフロントのサスペンションアームを離脱します。トヨタの場合、ドライブシャフトが貫通するハブナックルを取り外すと作業がスムーズです。
サスペンションアーム後端に位置するブッシュはこのように大きな亀裂が入っていました。しかし車齢22年、走行37.3万キロ使用しているのに完全断裂まではまだといった印象。
前端のブッシュは中心のボス周囲にうっすらとヒビが見られる程度。
一番驚いたのは、ボールジョイント(ハブナックル下部の支点だけはボールジョイント式が一般的です)のダストブーツの亀裂が全くなかったこと。他メーカーでは10年経過頃からヒビや亀裂が入ります。トヨタのハイクオリティには全く脱帽です。
残念ながらブッシュのみの供給がなく、高価なサスペンションアームASSYの交換になりましたが、費用以上の効果があったのは言うまでもありません。
次回は特殊工具を使用するリアサスペンションアームブッシュの交換を実施したいと思います。
↓こちらのヴィッツは、消耗品のショックアブソーバの選択肢が段々少なくなり、現在TEIN(減衰力調整式)を試用しています。
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