適切なメンテナンスをしていると、走行距離が30万キロを超えることは珍しくはないのですが、ある年代の一部トヨタ車では、オドメーターの仕様のため、299,999kmで止まってしまいます、という記事を1年ほど前に書きました。
30万キロ到達の瞬間を心待ちにされていたオーナー様は、感動の瞬間を見逃すまいとオドメーターに注目されましたが、いつまで経ってもそれ以上カウントされることはありませんでした。
その後、オーナ様は30万キロ以上の走行距離を、「トリップB」で管理されています。
1万キロでゼロに戻る「トリップB」は新車からリセットせず、日常的にエンジンオイル交換時期の管理にお使いでしたので、30万キロ以上のカウントに好都合でした。
平成15年式 UA-SCP10 1SZ-FE 5MT 走行距離 320,000km
しかし問題は、車検(継続検査)です。
運輸支局で検査業務をされている NALTEC 独立行政法人 自動車技術総合機構の見解は、一部トヨタ車の299,999kmの表示は、積算走行距離計(オドメーター)の作動が止まっているとみなし、検査不合格とのこと。
一方、トヨタ正規販社は、「その場合リセットなどはできないので、新品のメーターASSYと取り換えます。保証規定に従って有償修理とさせていただきます。」
とのこと。もちろん新車販売時に説明はありませんでした。
長年大切に愛用されて、仕様のため機能停止したメーターを有償交換(そう安くはありません)、長距離オドメーターのカウントも見られず、何だかつまらないですよね。
そこで中古のメーターを取り寄せて、僕なりにいろいろ試し、いろいろ調査してみました。
メーターパネルを分解すると、内部のプリント基板に走行距離を記憶するEEPROMがあります。
一般の方はあまりご存じでないかもしれませんが、ほとんどの車種でEEPROMの解析結果は共有されていて、市販の簡単な機器を使って走行距離表示を自在に変えることができます(中古車の走行距離など全くあてになりませんね)。
入手した時はこのように「58,767km」の表示ですが、
ディーラーでできないと言われたリセットは、
こんな風にできますし、任意の距離、すなわち299,999kmまでにメーター交換した場合などは、交換時の距離に合わせることだって可能です。
気になって、試しに301,000kmをROMに書き込んでみますが、やはり表示仕様のため、299,999kmと表示されました。
このことから、299,999kmで止まっているように見えて、30万キロ以上の距離が今でもカウントされているかもしれません。機会があれば現在装着されてるメーターのROM読出しを行ってみましょう。
で、どうしてこの記事をもう一度書いたかといいますと、問題の車検(継続検査)が目前に迫ったからに他なりません。
約1年考えましたが、30万キロ以上を表示させることは叶わず、リセットしたメーターと交換して車検は合格です。
備考欄には今回検査時の走行距離計表示値『0km』と、走行距離記録最大値『290,100km』が併記されました(今回は訳あって滋賀支局で受検)。
トヨタ 純正 ヴィッツ P10系 《 SCP10 》 スピードメーター P10300-19013698