走行中に突然警告が表示されたということでお預かりしたトヨタ クラウンです。
平成17年式 DBA-GRS182 4GR-FSE 6AT 走行距離 105,000km
メーターパネルの中央には「VSCシステムチェック」のメッセージと、ナビゲーション画面にはVSCとエンジンの警告マークが表示されていました。
※VSC:Vehicle Stability Control 車両安定制御システム。カーブを曲がる時に起こりやすい横滑りを抑え、クルマを安定させるシステム
排気ガスのガソリン臭を除けば、エンジンが特別不調というわけではなく、オーナー様もご来店まで警告表示以外の不調体感はなかったと仰います。
簡易スキャナーの出力コードは P0171 リーン異常。A/Fセンサー(空燃比センサー)が燃料不足を一定時間検出したときに出力されるトラブルコードです。以前、ZC11S スズキ スイフトの同一トラブルコードの原因が、ブレーキブースター付近の二次エア混入だったという事例がありました。《参考記事》隠れた原因へのアプローチ(スズキ スイフト DBA-ZC11S エンジン警告灯点灯 P0171 空燃比リーン異常)
A/Fセンサーそのものの異常という短絡的判断にならないよう、慎重に診断を進める必要があります。
取り急ぎ、良品エアフロセンサーと交換点検してみますが、症状に変化がなく、詳細データを確認します。
13項にも及ぶデータ項目の2項目、右側バンクのA/Fセンサーの出力電圧が振り切っているのがわかります。その上の実空燃比も1から大きく逸れて1.2以上。一方、左側バンクの同一データは正常でした。
A/Fセンサーが継続的に燃料不足を検出しているのに排気ガスは異常なガソリン臭です。A/Fセンサーの機能不全がほぼ確実ですが、ACR30Wエスティマ用A/Fセンサーの中古動作品のコネクタを組み替えて仮装着し動作点検しました。狭い場所に装着されているようですが、KTC O2センサソケットセット ATD5012をある角度から装着できますのでセンサー脱着は容易な部類といえるでしょう。
さて、ACR30W用をそのまま使用すると「ヒーター機能低下」のトラブルコードを出力するのでヒーター線は元のクラウン用を使用。A/Fセンサー部は排気管内、ヒーターは外部に吊るした状態で点検しました。(翌朝、この2つのセンサの装着状態では、冷間時、A/Fセンサー断線のトラブルコードが出力されることもわかりました)。
結果、A/Fセンサーの出力は3V付近を示して正常に燃調制御され、警告表示が出ることもなくなりました。
VSCシステム点検を促すメッセージは、スイフトで経験したブレーキブースターからのエア吸い込みの「可能性」を案内しただけのようです。
新品の純正A/Fセンサーを交換して修理完了です。
↓こちらは社外同等品
《関連記事》
トヨタ クラウン E-JZS151 車検整備 ~紋章冠に込めたスーパーハイクオリティの証~
トヨタのフラッグシップ ~真の最高品質とは~ (DBA-GRS182 クラウン 車検整備)
17年 26万キロ耐久したラジエーター(トヨタ クラウン E-JZS151)
トヨタ クラウン アスリート ABS警告灯点灯(JZS175)
コメントを残す