今年の夏も茹だるような連日の猛暑で、エアコン修理の台数は過去最高を記録しました。
正常に稼働しているエアコンでも車室容積の大きな軽自動車では冷房能力が不足気味なのに、少しの不調で全くエアコンが効かなくなると感じるほどです。
平成21年式 DBA-MK21S K6A CVT 走行距離110,000km
とにかくこの時代のスズキの軽はエアコントラブルが多く、特にエバポレータといわれる室内機からの冷媒漏れが多発しました。
一部リコールや延長保証(新車登録から9年間)があり、その規模はほぼすべての車両で起こるといっても過言ではなく、当方がお世話している車両は今回のパレットが最後かもしれません。
その冷媒漏れするエバポレータはダッシュボード奥に備わる一体化された空調筐体の内部に格納され、冷媒と暖房の配管がバルクヘッドを介してエンジンルームへと導かれます。
当然、この大きな空調筐体を取り出すためにはダッシュボード全体を離脱する必要があり、
空調筐体を取り外してしまうと、室内前部にはペダル類とヒューズボックスしか残りません。
取り外したエバポレータは、冷媒とともに回路を循環するコンプレッサオイルで湿っており、かなりのリークがあったことを示唆します。
あらかじめ冷媒回路に注入しておいた蛍光剤が紫外線ランプに反応します(緑色に光る部分)。
蛍光剤はドレーンホースを伝ってクルマの外に排出されますので、分解前にエバポレータからの冷媒リークの判定ができるというわけです。
全て組みあげて、冷媒(HFC134a)を回路に規定量充填するのですが、冷媒充填前にロータリポンプによる「真空引き」という前段階の作業があります。
写真は年代モノのエアコンガスチャージャ(冷媒がR12主流だった時代の機器)ですが、この大げさな機械のロータリポンプの部分だけ小改造して現役で使っています。
機械側面に刻まれた英語表記と米国風デザインは、必ずしも実用的な必要性からではなく、当時の日本社会における「憧れ」や「付加価値」を表現する手段として選択されたと考えられます。
今から見ると少し滑稽に感じる和製英語ですが、それ自体が当時の日本の産業発展と文化的アイデンティティを示す興味深い歴史的資料です。
これはその時代の日本社会が持っていた価値観や願望が形となって表れたものと解釈しています。
このパレットのエアコン修理で今シーズンの稼働はひと段落。以前から気になっていたオイルレベル確認窓のオイルにじみをこの機会に修理します。
昔は入手が難しかったこのような小さな部品も、情報が大量に獲れる現在では難なく入手でき、40年も前の機械を変わらず稼働させることが可能になりました。
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長年堆積した内部の汚れもこの機会にクリーニング。
また来シーズンも頑張ってもらいましょう。
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