極端に走行距離が少ない、車齢8年超のインプレッサG4の法定点検です。
平成25年式 DBA-GJ2 FB16 CVT 走行距離9,000km
今後、走行距離が多くなるとのことで、油脂類の点検をメインにご依頼がありました。
まずはボンネットを開け、目視できる液体類の点検をします。
最初に目に留まったのは、クーラントサブタンク内の液量の多さでした。MAXを大幅に超えています。
ロングライフクーラントは、トヨタが20年程前に高防錆タイプに移行してからのち、各メーカー順次、同高防錆タイプに置き換わりました。
トヨタ、ダイハツが「ピンク」の着色に対して、その他メーカーは「ブルー」です。
このブルーが間違いの元だと思うのですが、滴下したクーラントの泡立ちの多さから、ウォッシャー液混入の可能性が高く、入念に全量交換いたしました。
泡立ちはキャビテーションの原因になり、ウォーターポンプインペラの壊食といった深刻なトラブルを招きます。このような人為的なミスを回避するためには、ブルー以外の着色が望ましいと思います。
エンジンオイルは交換済みでしたので、ブレーキフルード交換を経てリフトアップします。
こちらのインプレッサは縦置きエンジンのFFです。
変速機はフロントデファレンシャルとトランスミッション(CVT)の一体型なのですが、デファレンシャル部と、CVT部は隔壁で仕切られ、別々の油脂で潤滑されています。
最小荷姿が20リットルの純正CVTフルード。現在の走行距離とイニシャルコストを考えて今回の交換は見送りました。
一方、フロントデファレンシャルオイルについては、オーナー様が交換を希望されましたので、少し早いかな(メーカー指定は4万キロごと)と感じながら交換することにしました。
デフオイルのドレーンボルトはトルクス最大級のT70。
一番使用頻度の高いT30との大きさの差はご覧の通りです。
緩める際は固着がつきものですから、規定トルクよりもずっと強い力で緩める必要があります。同種の工具は信頼できるものでないといけません。
走行距離は1万キロ未満でしたが、このようにドレーンボルト内側のマグネットには鉄粉や針状の鉄片がたくさん吸着していました。
FR車や四輪駆動車のリアデファレンシャルも同様、回転軸が直交する変速装置では、初回交換時のギアオイルがこのように汚れていることがあります。
デフオイルは指定のスバル エクストラS 75W90 GL-5を注入します。
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赤丸のボルトは「オーバーフロードレーンプラグ」といって、特殊な油量調整が必要です。
このオーバーフロードレーンプラグの奥には、ある長さの「筒」が備わります。
まずはオーバーフロードレーンプラグを緩めます。
少量ですが、汚れたギアオイルが出てきます。
そして、トランスアクスルの運転席側面にあるフィラーからギアオイルを注入していくと、
このようにオーバーフローして、規定量が注入できる仕掛けです。
最後になりましたが、
今後は融雪剤散布地域でご使用になられるとのことで、下回りを高圧洗浄してよく乾燥させ、クリアーの防錆塗装を全面に施して点検整備の完了としました。