車検時など、保安基準に適合しないと指摘を受けることがあるドライブシャフトブーツの破れ。
一般に等速ジョイント(以下、CVジョイント)部に水や砂塵が浸入するの防止するため蛇腹式のブーツでおおわれています。
近年は樹脂製のブーツが主流になり、以前と比較して耐久性が格段に向上しました。しかし、上の写真のように経年や走行過多による劣化で、破れてしまうことが少なくありません。周囲にはブーツ内に封入されていた二硫化モリブデン入りの濃緑色のグリースが飛散しています。
今回は、そのドライブシャフトブーツが破れたときの対処法についてご相談をいただきました。
たけし様
いつも興味深く拝見しております。
今回ドライブシャフトブーツの破れ修理について相談させてください。当方でお世話になっている整備工場では分割式を勧められました。たけし様の記事にもたびたびドライブシャフトブーツの分割式についてのお話が出てきており、使用してもよいかもと思う反面、過去の経験で、分割式のブーツを使用してすぐにダメになってしまった(グリス漏れ)ことがあり、純正のブーツを使用しての修理をしてもらうほうが良いかとも思い、迷っています。
その延長線の話で、距離が12万キロほど走っておりますのでドライブシャフト毎リビルト部品で交換してもよいのではという話も出てきており、どの修理方法が適切なのかわからなくなってしまいました。
ちなみに、車は今後も乗り続ける考えでいますし、1日の走行距離も100から200キロはざらなので、しっかりしたもので治したいとも思っています。
また、リビルトのドライブシャフトは、ブーツは社外の物が使われているとのことで、純正と比較して耐久性が心配なようにも思います。
逆に、リビルトを使うとかではなく、純正のブーツのみを交換したほうが良いのでしょうか。シャフトを交換したほうが良いのかどうかも何を基準としたらよいかわかりません。
だらだらと書いてしまいましたが、どうぞご意見をお聞かせいただけますと助かります。
いつも当ブログをご覧いただき誠にありがとうございます。
以下、簡単に僕の意見を述べさせていただきます。
リビルトには様々あると思いますが、僕は純正の品質のリビルトシャフトに出会ったことがありません。
一番困惑するのが、ブーツサイズ(すなわち、CVジョイントの大きさやシャフトの直径)の異なるものがあることです。
ブーツ破れを修理しようと純正サイズのブーツを注文したところ、リビルトシャフトとは気が付かず、サイズが全く合わなかったという経験があります。
近年は硬い材質(樹脂製)のブーツが主流になってきました。車種によってはシャフト自体に繰り返し品番変更があるものもございます。
↓こちらは、L375S ダイハツ タントの純正フロントドライブシャフト アウタージョイントブーツです。「ひだ」の数が多い樹脂製のブーツです。
↓一方インナージョイント部はまだまだラバーブーツの車種が多いように思います(同じくL375S ダイハツ タント用)。
ごく最近のものは承知していませんが、リビルトシャフトのブーツは従来の柔軟性のあるラバーブーツだと思います。
ラバーブーツは純正の樹脂製のものに耐久性で見劣りします。
さて、稀なケースですが、ダイハツの一部軽自動車では、補修用として分割ブーツを純正品番指定しています。
オイルシールメーカーのNOKが製造するメルトジョイントブーツです。
ドライブシャフトブーツ アウター用 ムーヴラテ L550S 用 MB0A-V9-003 分割式 メルトジョイントブーツ 作業ラクラク ダイハツ DAIHATSU
接着剤で接合したのち、使い捨てカイロのようなもので温めます。こちらは手順通りに施工すれば、かなり高耐久でグリース滲みもありません(僕も愛用しています)。
リビルトドライブシャフトを交換する場合、ミッションからシャフトを脱着したり、ハブ中心の締結を解いたりしますので、ミッション側オイルシールの取り扱いや、ハブナットの締結トルク管理など、作業に精密さと慎重さが求められます。
メルトジョイントならシビアで神経の使う作業が回避でき、ダイハツにおいては純正品番指定されていて品質も問題ないでしょう。
一日数百キロの走行で、総走行距離12万キロはまだ過走行とは思いません。急峻な山坂道を同じ距離走行されているならシャフトのガタも気にしないといけませんが、通常の市街地走行ですと、まず心配ないかと思います。
もしCVジョイントから異音が発生しているなら、距離の少ない純正中古品のドライブシャフトと交換するのが、価格と品質がバランスしていてよい方法と思います。
質問者様のお車の状況でしたら、まずは分割タイプのメルトジョイントブーツで様子を見ます。その後、旋回時などで異音が発生したときに良品中古と交換でよいのではないでしょうか。
急ぎ足で書きましたので取り留めなく申し訳ありません。
参考になりましたら幸いに存じます。
ショウ says
この度は、ご相談させていただきありがとうございました。
故障当時、どのような方法で修理すればよいかわかりませんでしたが、たけし様にアドバイスをいただき、純正部品にての交換にて修理をしていただくことができました。
修理前は、整備工場の方にすでにリビルトのシャフトに交換されているとのことで、純正ブーツは使えず、社外のブーツかリビルトシャフトでの交換を勧められましたが、純正部品の品質の件でたけし様からアドバイスをいただいておりましたので、純正部品へこだわっていたのですが、整備担当の方がそれを汲んでくださり、純正部品が適合するか調べてくださいました。
その結果、適合するとわかり、純正部品での修理となった流れです。
リビルトシャフトのブーツはたけし様がおっしゃられたようにゴム製のブーツで、純正に比べると耐久性が落ちるということでしたのと、ダイハツ純正指定の分割ブーツでもよいと思いましたが、整備担当の方が純正にこだわってるのを汲んで分割タイプでないほうがより安心ではとのことでしたので、純正の分割でないブーツでの修理としました。
今回のドライブシャフトブーツの交換の件で、やはり純正部品での修理が安心ではと感じた次第です。
決してリビルト部品が悪いということではなく、耐久性の面ではやはり純正部品かなということを感じました。
今回は、アドバイスをいただいたおかげで安心して修理方法の相談ができました。
本当にありがとうございました。
今後とも、記事の掲載を楽しみにしております。
ITS says
ショウ 様
早速コメントを頂戴し、ありがとうございます。
貴殿のお車にはすでにリビルトシャフトが組まれていたとのこと。
新品より安価なリビルト品ですから、比較的不具合の出やすい軽自動車に装着されている例は多いと感じます。
担当された整備士さんが熱心に対応してくださったようで何よりです。おそらくは返品が難しくなる現物合わせを試みられた結果だと思います。
非分割の純正が最高ですが、分割タイプも近年非常に性能が良くなってきていますので、機会があれば是非お試しいただけたらと思います。
この度はお問い合わせをいただきありがとうございました。
今後ともよろしくお付き合いください。
ショウ says
ご返答ありがとうございます。
確かに、担当してくださった整備士さんはこちらの希望を熱心に聞き入れてくださいました。
たけし様がおっしゃるように、返品しづらくなるけど現物合わせして確認したとも言っていましたので、本当に頭の下がる思いでした。
今回の修理はいつもお願いしていたところで、年内は予約がいっぱいで修理ができないと言われてしまい、急遽探した整備工場でお願いしました。
そして、今までいろいろな車に乗り、ディーラーも含めていろいろな整備工場にお願いしてきましたが、今回のような対応をいただいたのも初めてでした。
たけし様からアドバイスいただいていたので、話の進め方もよかったのかもしれません。
今までの整備工場の担当の方とは全く対応が違い、たけしさんを思わせるような感じの人で好感も持てました。
車の故障などがあったとき、たけし様のお店に持っていきたいと思うことも数多くありましたが、今回の件で偶然ではありますが、よい整備工場をみつけられたのかもしれません。
そのことについても感謝しております。
また、機会があればおすすめの分割式ブーツも試してみたいと思います。
またその時はご報告させていただきます。
今後ともよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。