特に雨の夕暮れ時、ヘッドライトを点けていても、本当に点いているのかと思うほど暗く感じることがあります。
HIDやLEDといった明るい光源が標準のクルマが増えてきましたが、まだまだハロゲンバルブ装着車にお乗りの方も多いでしょう。
雨の夕暮れ時はHIDやLEDであっても見にくいものですが、ハロゲンバルブはなおさらです。ヘッドライトが明るくなりませんかという相談は絶え間なく寄せられていて、お客様自身で社外品のHIDやLEDを装着されていることも珍しくありません。
光源をHIDやLEDにすると確かに視界は明るくなるのですが、問題があります。
平成27年9月1日以降、車検時のヘッドライト検査がロービームになり(平成10年9月1日以降製作車に限る)、社外のHIDやLEDは、車検対応と書かれていてもほとんど不合格。
ここ数年は、検査場の自動ヘッドライトテスターの計測アルゴリズムの変更があったのか、検査官の裁量の範囲が拡大したのか定かではありませんが、ロービーム検査移行直後に比べて、不合格率は随分低くなりましたが、ハロゲンのヘッドライトユニットに社外品の明るいHIDやLED光源を装着した車両の不合格率は依然高いままです(詳細不明ですが、国内の有名メーカー品のLEDには問題なく合格するものがあるようです)。
不合格になる社外HIDやLEDは配光特性が不適切で、いわゆる「グレア(眩惑)」を生じるものがほとんどです。いくら運転者にとって視界良好であっても、対向車に危険な状態であってはいけませんから、検査で不合格になるのはもっともな判定といえます。
そういうわけで、保安基準に適合した明るさを求めると、やはりハロゲンバルブが基本です。
しかし、数多くあるアフターマーケット品の中から適当に選んで装着してみたら逆に暗くなった、なんてことが珍しくなく、選定が非常に難しいとお感じの方も多いでしょう。
まず、バルブのガラスは透明なものを選びます。
レンズの青い着色は、単純に暖色成分がフィルターされますので、同一フィラメントだと透明に比べて確実に光度が落ちます。光が白っぽくなるだけで「明るさ感」なんてパッケージに書いてあるものがありますね(笑)
選定の参考にしていただけるよう、標準仕様のH4バルブ2種、明るさアップを謳う透明ガラスのH4バルブ3種の合計5種の光度を計測し、明るさを定量的に比較・評価してみました(光度計測が容易なハイビームの比較です)。
④スタンレー製 光度アップH4バルブ RAYBRIG RR79(現在生産していません)
レーシングギア製だけガラス管の細さが目立ちます(小糸のノーマル品との比較)。
テスト車両はリフレクターにカットのあるH4ハロゲンヘッドライトユニットのスズキ パレット MK21S。
ヘッドライトテスターはイヤサカのHLT-100を用いました。
ヘッドライト点灯後は、バルブの温度上昇と共に光度が落ちますので、可能な限り速やかに最高光度点を探って計測しました。
①小糸製作所製 標準H4バルブ V9119-2011(415hcd(ヘクトカンデラ))
②オスラム製 標準H4バルブ V91500555(408hcd)
③小糸製作所製 光度アップH4バルブ V9119-3001(505hcd)
④スタンレー製 光度アップH4バルブ RAYBRIG RR79(568hcd)
⑥レーシングギア製 光度アップH4バルブ G40P(613hcd)
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ロービームの配光特性は、いずれのバルブも車検に問題となるようなグレアの発生は認められませんでした。また、ハイビームの高度が大きいものはロービームも明るく、視認性が良くなることを付け加えておきます。
この5種類で最低と最高の光度は約1.5倍の差があり、最高光度のレーシングギア製は明らかに夜間の視認性がアップします。明るいバルブは相対的に寿命が短いので、長寿命の工夫をしたというレーシングギア製の長期テストを進行中です。