先日、アイドリング不安定の修理でお預かりしたダイハツ ミラの不調再発です。
参考記事:アイドリングが不安定 その原因と対処(ダイハツ ミラ CBA-L250S EF-VE)
調子を取り戻したのも束の間、エンジンが冷えてる間だけ加速がもたつくようになったと連絡が入りました。
お預かりしたときはエンジンが温まっていて、加速不良は皆無。エンジン警告灯の点灯はありません。
数時間エンジンを止めて症状を確認したところ、ゼロ発進の最初の1~2秒の加速不良があり、その後は順調に回転上昇します。
そして、エンジンが温かくなるにつれ徐々に症状が現れなくなるという不思議な症状でした。
加速不良は、1気筒燃焼不全のように感じましたので、まずはスパークプラグの先端状態を目視点検しました。
予想に反して各気筒共くすぶりの様子が無く、スパークプラグ先端に有意な差がありません。
となると、つい先日交換した中古スロットルボディーに内包していた不具合が納車後出現したのでしょうか?
データをひと通りモニターしますが、完全冷間時、完全暖機時とも異常な数値はみられません。
試しに、スロットルボディーに装備されるISCVとスロットルポジションセンサーのコネクタをそれぞれ一つずつ離脱してみると、いずれもよく似た加速不良が発生します(但し、どちらのコネクタ離脱もエンジン警告灯が点灯したままになります)。
直近に触った場所が現在の不調の可能性が高いので、今一度、他車からのスロットルボディーを移設して確認してみますが、エンジンが冷えると同様の加速不良が発生します。
ここまでの点検で、同時期に偶然発生した別の不具合と判断しました。
念のためO2センサー出力を確認します。
リッチ出力とリーン出力を繰り返しているので正常です。
同業者の皆様、きっと僕と同じ気持ちだと思いますが、日常のルーティンでさえ余裕がないのに、サービスマニュアルの手順に則ってのんびり故障診断している時間など到底ありません。
いろいろな故障ケースを可能な限り体に蓄積して、ほぼ瞬時に故障原因に辿りつきたい希望(欲望?)を持つのではないでしょうか。
今回のケースは冷間時の不調で、症状再現のためには、エンジンを最低2~3時間冷却する必要があるのと、もたもた診断しているとあっという間に調子が良くなるのが、さらに時間と神経を消費します。
冷却の数時間は、Webで同様事例をサーチしますが、これだけ多くの車種に展開されているダイハツのエンジンなのに同種の事例が全くヒットしません。
面倒でも最初からデジタルオシロを手立てして細かく走行時の各部波形を見ればよかったかなと思ったり、明日から予定している作業が遅れ遅れになる悪循環を想像して焦る気持ちが錯綜し、ふと時計を見ると深夜3時を回ってました。
少し頭を冷やそうと、今一度、最初に感じた点火系に戻ります。
よく見ると、なんと社外品のイグニッションコイルが装着されているではありませんか!
たまたまストックしていた純正品との比較です(左:純正、右:社外)。
細部にわたって形状を真似ているので、まったく気が付きませんでした。
純正ストック品と交換点検すると、3番の社外イグニッションコイルの不調が判明しました。
社外イグニッションコイル(外観からまだ新しそう)は、経験のない故障モードを呈していたということです。
根拠のない勘でイグニッションコイルを安易に交換する修理方法と結果が変わらなかったことにガッカリしましたが、初見の甘さを反省した一件でした。
コメントを残す