仕入れた車両回送中にエンジン警告灯が点灯し、エンジンの調子が良くない。簡易スキャナーの結果はP1339で、Webで内容を調べるとクランク角センサーのようだと、同業者様からクランク角センサー交換の依頼がありました。1気筒機能していないようにも感じるとイグニッションコイルも1本ご用意くださいました。
平成23年式 シトロエンC3 ABA-A55F01 5FS 4AT 走行距離 95,000km
クランク角センサー不調でエンジンが始動していることに疑問があることと、Pコードの1000番台は自動車メーカー毎に割り当てが異なるので慎重に調べることにします。
久しぶりにLeixaを立ち上げました。
シャシーNo.の認識までは大丈夫でしたが、5FSエンジンECUへの接続がうまくできず、簡易スキャナーで診断することにしました。
確かにP1339を表示します。私が調べたところでは3番シリンダーのミスファイアでした。
こちら、BMWのエンジンが搭載される同年代のプジョー、シトロエン。イグニッションコイル不調が有名(?)です。
フランス車は縦置きエンジン時代の名残で、トランスミッション側からシリンダー番号が割り当てられています(縦置きエンジン搭載車は、エンジンの前方にトランスミッションがあったため)。
一旦フォルトコードを消去し、ご用意いただいたイグニッションコイルで交換点検しますが、同じP1339が繰り返し出てきます。
2番、4番シリンダーに真新しい2本のイグニッションコイルが装着されているところを見ると、前作業者がイグニッションコイル交換を順番に試みた苦労が伺えます。
クランクシャフトの角速度変動で、不調のあるシリンダを特定できるECUの診断機能に助けられ、3番シリンダの不調まではたどりついています。
イグニッションコイルの不調は除外されましたので、可能性があるのはスパークプラグ、インジェクター、エンジン本体ですが、連続する上り坂で不調がでることから点火系に絞って、スパークプラグの位置を変更してみることにしました。
3番シリンダのスパークプラグを2番シリンダーに移設、一旦フォルトを消去して試運転。上り坂に差し掛かると不調がでてスキャンした結果、
不調が2番シリンダーに移動しました。
念のため元3番シリンダーのスパークプラグを1番シリンダーへ移設した結果も確認します。
不調が1番シリンダーに移動し、3番シリンダーのスパークプラグ不調が確定しました。
取り寄せた純正スパークプラグも、元装着品のBOSCH製と同一品番(ZQR8SI302)でしたが、碍子部の電極材料表記が若干違っていました。(元:PLATIN―Ir、新:IRIDIUM)
目視では特に不具合は見つかりませんでした。
新品のスパークプラグに交換すると、エンジンは始動直後から実にスルスルと綺麗に回ります。
不整脈が解消して好調を得たシトロエンは、いつもの山坂道を力強く滑走しました。
シトロエンC3&DS3のすべて (モーターファン別冊 ニューモデル速報/インポーテッドシリーズ vol.12) ムック – 2010/6/4
コンドー says
いつも読まさせてもらっています
センサーや電気系はオシロを使うといいですよ
あれこれ無駄な手間、無駄な請求も減ります
ITS says
コンドー様
ご指摘ありがとうございます。
恥ずかしながらオシロは数十年来頼らず、常備していませんでした。
時代は変わり、マルチチャンネルのデジタルストレージオシロ(DSO)もかなり求めやすい価格になっているのですね。稀にしか発生しない現象をとらえるのにはDSOが有効です。導入を検討します。