同業者からの依頼です。暑い季節になると、走行中に突然エンストし、1時間程度再始動ができなくなるといいます。
スバル サンバー トラック V-KS4 平成2年式 5MT 4WD S/C付 走行12万キロ。
僕の工場にやってきたときは、とても調子がよく、始動性も申し分ありませんでした。とりあえず、ダイアグコードを呼び出してみます。
スバル車はダッシュ下の黒い1Pコネクターを接続することで、エンジンチェックランプが点灯し、簡単にコードの呼び出しができます。
長く1回点灯した後、短く1回点灯。すなわちコード11ということです。
ディーラーに確認を取ります。
クランク角センサー系統だそうです。
一旦消去します。
消去も簡単です。黒い1Pコネクターの接続に加えて、近くの緑の2Pコネクターを接続し、しばらく走行します。
さて、ここからが本番です。
クランク角センサー系統ということで、センサー本体を確認します。
デストリビュータに内蔵されたセンサーは、気筒判別センサーと共に、新品に交換済みでした。
念のため、サーキットテスターで抵抗値を確認→異常なし。
センサーからECUまでの、各コネクタの腐食や、断線がないかを入念に目視。
その後、センサーからECUまでの導通を確認→異常なし。
依頼者に、クランク角センサー交換の件について聞きました。
「以前、エンストしたとき、点火のチェックをしたところ、4気筒とも火が飛んでいなかったので、電気系統だと思って、一番安いイグナイターを交換しました。そうしたらエンジンが掛かるようになりました。」
とのこと。
依頼者は、クランク角センサーのことをイグナイターだと思っていたらしいです。この車のイグナイターは、イグニッションコイル横です!
故障コードの消去はしてなくて、交換前のクランク角センサーが本当に異常だったのかは、現在は確認できません。とにかく症状を出すしかないようです。
ひたすら、走行します。
夜中の2時になりました。
いたって快調です。
暑いときに出ると言ってましたから加熱することにします。エンジンカバーをあけて、ジェットヒーターで加熱します。
8時間加熱しましたが、絶好調でした。
さらに翌日、あとはECUぐらいでしょうか??
とりあえず、ECUをヒートガンで遠くからあぶってみました。
すると、10分程度でエンスト!!
再始動はできません。
やっと症状再現です。
さあ、ぼーっとしてられません。
IG ON時の燃料ポンプの作動音で、燃料ポンプの作動を確認。
点火のチェックをタイミングライトで行います→NG
故障コードの呼び出し→コード11(クランク角センサー系統)
センサ単体抵抗値測定→異常なし
センサーコネクターからECUコネクターの導通チェック→異常なし
ということで「ECUの不良」という結果がでました。
20分ほどして、再始動ができるようになりました。
もういちどヒートガンで暖めます。
やはり10分ほど加熱するとエンストしました。
再始動不可能。
同様の点検を行い、「ECU不良」ということになりました。
さて、問題のECU。
蓋を開けて目視で点検しますが、目立った異常個所はありません。
クランク角センサーに接続されている2本のピン間の抵抗値を測定すると14kΩほど。
そのまま蓋を開けて加熱します。
しかし、何分経っても抵抗値に変化がありません。
加熱では症状が現れなくなったのでしょうか?それとも蓋を開けて加熱したから導通が逆に回復してしまったのでしょうか?
車両に戻しても、加熱という方法では症状が出なくなってしまいました。
しかし、一旦答えはでましたので、程度のよさそうな中古品と取り替えることで完治としました。
最後はなんだかすっきりしませんでしたが、その後の調子はよいようです。
匿名 says
私も同じ症状でした ECUの隣に着いている
茶色のリレー (メインリレーを)交換したら直りました。
たけしくん says
コメントありがとうございます。この類の修理は直し甲斐がありますね。記事には書きませんでしたがメインリレーは念のため新品に交換しておきました。