エンジン不調でお預かりした スバル サンバーの診断、最終回です。
前回記事『サンバーディアス(V-KV4 EN07)エンジン吹けあがり不良(その3)』
平成9年式 スバル サンバーディアス V-KV4 EN07 EMPi スーパーチャージャー 5MT4WD 走行距離140,000km
間違った推測の結果ECUを交換し、症状が改善されなかった同車両。診断をしているうちにどんどん始動性が悪くなり、エンジンかかかりそうでかからなかったり、どうも点火タイミングがずれているような感じ。
点火や燃料噴射のタイミングはディストリビュータ内のクランクセンサの信号で決定しています。
クランクセンサの点検は抵抗値が基準内であることと、シグナルローターとの隙間が基準値であることを確認したのみで、整備要領書にある信号波形の点検までは行っていませんでした。
やはりこの部分をもう少し煮詰める必要がありそうに思いました。
しかし、オシロスコープのない環境では波形の確認ができません。
交換チェックをしようにもやはり高価な部品を次々と交換するもの利口ではありませんので、ジャンクパーツを漁ることに…
運よく平成始め頃のサンバートラックのディストリビュータが見つかり、コネクタはちがうものの、センサ本体が同じであることを確認。
早速取り付けました。
結果…
一発始動で吹け上がりも良好。
完全に直りました。クランク角センサーの特性がずれていたのが原因だったようです。
クランキング時や高負荷時などクランク角センサーのパルス信号がECUの閾値に到達しないのでしょうか?
点火と燃料噴射の回路はおそらく別でしょうから各々微妙に閾値が違っていて火は飛ぶけど燃料が出ないという症状になっていた可能性があります。
クランク角センサーの信号が閾値に到達しなかった期間があるのであれば異常と認識してコードを出力してくれてもよさそうなものなのに…
ECUの自己診断機能って、わざわざそういう機能をつけたのではなくて、ECUの開発過程で必要だったものをそのまま修理に利用しているだけなのかもしれないなと思いました。
だってそう思いませんか?あんまり故障診断機が役に立ったことありませんもの。
ECUの内部までは僕にはわかりませんが、今回はオシロスコープの必要性を実感した故障事例でした。
タダでも忙しい年度末に舞い込んできた修理。
文章に書くと短いですが2週間もお預かりしていました。お客様には随分長い間ご迷惑をおかけしましたが、原因がはっきりしてよかったと思います。
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