15分~20分程度アイドリングしているとオーバーヒートする(水温計の針が8割方上昇する)ということでお預かりしたのは、
平成14年5月式 日産 バネット SK82VN ガソリン 4AT 走行距離64,000km。
運転席後部のサービスホールからラジエータリザーブタンクのLLCを確認しますと空でした。
ラジエータキャップを空けるとアッパータンクも空!クーラント(LLC)を注入しますと1.5Lほど入りました。
外部に漏れ出した箇所がないか確認しますが、どこにも見当たりません。
じゃあ、ヘッドガスケットでも切れたか?と思いましたが、その様子も無いようです。
こちらの車両、僕の工場に入庫するのは初めてで、記録簿にも詳細が記載されてないので、整備履歴がよくわかりません。
安価な民間車検で何度も車検しているとのことですからクーラント(LLC)の量すら見ていなかった可能性がありますね。
しかし、今回のようなクーラント(LLC)の減少は自然蒸発にしては減りすぎです。クーラント(LLC)を満タンにしてしばらくアイドリングしていますとやはり水温計の針が上昇します。
一つ一つ調べていきましょう。
①ラジエータの詰まり→ラジエータキャップ部からコアをみると、とても綺麗で詰まっている様子ではありません。
②ラジエータコア外側の異物→特になし
③サーモスタットの状態→開弁温度異常なし。パッキン部に劣化が見られたので交換
④水温計、水温計センサー→共に異常なし
⑤ファンカップリング→お客様の了解を得て新品に交換→症状変化なし。
⑥ウォータポンプ→異常なし
土曜日の夕方から深夜までしかお預かりできない車ですので、毎週土曜日になるたびにこれらの作業を行いましたが、決定的な原因が無く、また1週間で目立つクーラント(LLC)減少がないので、暗礁に乗り上げてしまいました。
一つ気がかりなのは、ラジエータの周りの空間が多いことです。こちらの車両のように、座席下にエンジンがある車は熱的に過酷です。
多くの同タイプの車両はラジエータ周りをスポンジやゴムフラップなどで塞ぎ、効率よくラジエータに風が来るように工夫してあります。
原因不明のまま、対策するのはすっきりしないのですが、ラジエータまわりにスポンジを詰めてみました。
すると、長時間アイドリングでも水温が上昇しなくなりました!
お渡ししてから1週間経ちますが、お客様も水温計は安定してたとおっしゃってました。
この対策を施したときから急に気温が下がりましたので、本当に直っているとは思えませんが、翌夏まではこのままお乗りいただくことになりそうです。