「ブレーキを踏むと前輪付近から異音がするので見てみたが、ブレーキパッドが減っているようには見えない。詳しく点検してほしい。」とのことでお預かりしたホンダ アクティ四駆です。
平成15年式 UA-HH6 E07Z 3AT 走行距離 100,000km
名車スバル サンバー無き今、ホンダのバモス・アクティがとても魅力的に感じます。特にこちらの四駆仕様は、リアミッドにエンジンを縦に搭載したバランスのよいレイアウトが特徴です。
試運転しますと、ブレーキを踏むまでもなく、フロント車軸からゴロゴロと異音を発し、ハブベアリングの損傷であることは明らかでした。
タイヤを取り外すと現れるディスクブレーキ装置の中心奥に目的のハブベアリングが強力に圧入されています。
まずはスライドハンマーでハブフランジを抜き取ります。
こちらのアウターベアリングボールには目立つ損傷や汚れはありませんでした。異音発生は内側のようです。ナックルアームに強力に圧入されているベアリング本体は油圧プレスの台にセットしますので、まずはロワーアームとセットで取り外しました。
専用のスタンドで水平にセットし、今回はメーター読みで10トン以上の力を掛けてようやく固着が解けました。
不調のあったインナーベアリング付近は焦げ臭い匂いと変色が見られます。ゴロゴロ音は以前から発生したと思いますが、ブロックパターンの大きなオールウェザータイヤのノイズとお感じになられていたようです。
旧ベアリングを当て子にして新品ベアリングを圧入します。
ハブに残ったままになっている外側ベアリングのインナーレースは、一部をグラインダーやベルトサンダーで、できるだけ薄く削り、タガネを軽く当てるのが最も確実に取る方法だと思います。専用工具があるのは承知していますが、サンダーのベルト切削力をもってすれば、造作ないことなのです。
カクシカおじさん says
お久しぶりです。
ハブベアリング、少なくとも私の車のムーヴコンテでは、現物を見ていないので断定できないのですが、ベアリングの封印のところ?あたりに、速度検知用の48極?だったか磁性粉を塗っていると聞きました。
よってベアリングに取り付け向きがあるのと、社外品の使用はダメだと伺っておりますが、これを知らない整備士もいるようで、組み付けを間違えたり、ドライバーの先端の磁石などをここに当てたりして速度検知とABSに不具合が発生…などと聞いたことがあります。もちろん私も知らなかった口ですが。
我が車は20万km弱走っても、今のところ幸いにもハブベアリングに不具合はないようで調子よく走っていますが、些細な部品(この場合はダイハツ純正のベアリングですが)一つとっても奥深いと考えさせられた次第です。
京都にお伺いする機会がなかなか無いのですが、今のところ締結ボルト等には問題ないようです。まだアップしていませんが、リヤースプリングはローダウンされていないコンテのNA車用に転換してリヤーサスの落ち込みに対処しました。
いままでは重い荷物などを積載すると、リヤーのみ大幅にローダウンしていましたが、空車でちょうどいいぐらいのクリアランスになりました。街中でいろいろ観察すると、総じてタントとか車重の重い車のリヤー側が沈んでいるのを見かけます。
断言できませんが純正のリヤースプリング、乗り心地重視のためなのか? バネレートがフロントスプリングより幾分柔らかいのかもしれません。
たけしくん says
カクシカおじさんさん
大変ご無沙汰しております。
コメントいただきありがとうございます。
おっしゃる通り、近年のハブベアリングにはABSセンサー内蔵型が増えてまいりました。注意すべき点はいくつかありますが、サービスマニュアルを参照しながら車種ごとに慎重に作業しています。油圧プレスは大変な力が掛かるすぐ近くで作業する、極めて危険な機械工具です。今回のように10トン以上の力を掛けてベアリングの固着が解けたときはプレス台が「バシッ」という強烈な音を発します。
ベアリングの寿命は幅があり、傷んだ部位から順番に作業するのがよいと思います。ベアリング内部の小さな傷が痛みのきっかけになっているような印象があります。
リアスプリングの件、大変興味深いカスタマイズを行われたのですね。また詳細貴殿ブログを楽しみにしております。
お近くにお越しの際は是非お声掛けください。