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エンジン始動不良のハイラックスサーフ(KD-KZN130W セルモーター交換)

エンジン始動しようとキーを捻ると、「カチッ」という音がするだけでエンジンが掛からないときがあると、ご相談を受けました。

トヨタ ハイラックスサーフ 平成7年式 KD-KZN130W 1KD 4AT 走行距離 124,000km


スターターモーターが駆動しない症状は、無音の場合と、エンジンルームから「カチッ」と音が鳴る場合があります。今回は後者で、スターターモーター内部の電磁スイッチの接点不良です。この時代のディーゼルエンジンに備わる大きく重いスターターモーター。今回はリビルト品を用意しました。

スターターモーターはエンジンルーム上側から脱着します。燃料配管を避けてオイルフィルターを取り外すと十分なスペースが確保できました。

スターターモーターの上側の固定ナット(対面幅17mm)は一見作業性が悪そうに見えますが、ATFレベルゲージのガイドチューブを取り外すと、30度ずつレンチが振れるスペースが現れますので、国産車の整備性の良さを実感します。ほんの少しの配慮で作業性が格段に良くなりますから、設計者の気遣いだと考えると、心が温まります。

さて、時々作動不良になった接点部分は著しく摩耗していました。

左側の接点に比べて、右側の接点が大きく段差ができています。電気スパークで接点が浸食されるとそれが加速されて摩耗に差が出ます。

次の写真は、電磁石の作用で直動するプランジャーです。この「つば」がこの2つの接点に接触して、スターターモーターに導通するのですが、段付き摩耗が起こった接点は、プランジャーのつばの接触が確保できなくなるときがあります。

この状態になると、「カチッ」と音がしても、スターターは駆動しません。そして、繰り返しイグニッションキーを捻ってプランジャーを積極的に動かして接触が確保されると、エンジンが軽快に始動できるので、バッテリー能力低下と区別することができます。電磁スイッチのプランジャーと同軸上にドライブピニオンギアがあります。

プランジャーが引き込まれると、ドライブピニオンは反対側から飛び出し、エンジンフライホイールのリングギアに噛みこむと同時に勢いよく回転して、エンジンのクランク軸を回す仕組みです。

お出かけ先でエンジン始動が不調になると、とても不安ですから早めの処置が安心ですね。この度はご相談いただきありがとうございました。

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