かれこれ10年以上もお付き合いのあるご近所のお客様は、ヤスリ製作の職人さんです。
大正生まれの職人さんが作るヤスリは、驚くほど精緻に刻まれた目で、爪でなぞるとまるで刃物のような切れ味。
そう、ヤスリは元来刃物なんだと再認識した瞬間でした。
目立てに使用される大小様々なタガネも厳選された鋼材の手製で、研いでいくうちにどんどん小さくなってしまうそうです。
また、切れ味の鈍くなったヤスリは再生のために職人さんの手に戻ります。一旦、グラインダーで目を全て落とされ、コークス炉で焼きなまし。再度目が立てられ、完璧に切れ味を取り戻すんだそうです。
たけし : 「僕は、ニコルソンの高価なヤスリを使い捨てていました。とってももったいないことをしていたようです。」
職人さん : 「さすがによくご存知ですなあ。ニコルソンは確かに母材が違います。でも古臭い前時代的なヤスリもね、捨てたもんやないですよ。」
と笑いながら、これは商品にならないから少し持って帰りなさいと、遠慮する僕に持たせてくれたのが写真の4本。あとで聞いた話で、この職人さんの作るヤスリでないと仕上げられない日本刀があるとのこと。時々短期間ですが、習いに来ていらっしゃる若い方をお見かけしますが、この素晴らしい技術も、他の例に漏れず後継者不在という悩みを抱えているんだそうです。
はがくれE says
切る、削る、穴を開ける道具などは、他のハンドツール以上に精度が高い方がいいと感じています。
ワンアクションで断然変わるので、余計な力も入らなくストレスフリーだと、時短やケガの回避にもつながると思っています。
身近にいい職人さんがいて羨ましいです。
たけしくん says
はがくれEさん
仰る通り加工系の道具は、少々高価でもいいものを揃えておかないと一瞬の役にも立ちません。しかも怪我がこわいですね。ベルトサンダーのベルトもいい例だと思います。