「気に入ったタイヤは次々廃版になって、今は在庫品で繋いでいるが、どうも最近のエコタイヤは性に合わなくて…」
と、片道160kmの遠方よりショックアブソーバ交換でご来店された際、お客様は、タイヤ選択のお悩みを打ち明けられました。
平成22年式 ダイハツ ムーヴコンテカスタムRS CBA-L575S KF-DET CVT 走行距離 180,000km。
走行距離が年間3万キロ以上のご使用状況で、20万キロ手前で初めてのアブソーバ交換になります。あまり知られていませんが、ショックアブソーバは5万~7万キロ走行で機能低下が著しくなります。車体の姿勢がふらつくので、タイヤが路面に適切に接地しなくなり、非常に不安定で乗り心地が悪いと感じるようになるでしょう。
消耗品なのに交換しない理由として、
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①比較的高額な整備であること
②機能低下していてもひどく安全性を損なわないこと
③自動車が古いからとか、走行距離が多いからと、ぼんやりした理由で納得していること
④そもそもショックアブソーバが消耗品であることを知らない
などが挙げられます。
冒頭のお悩みは、ショックアブソーバの機能が適正でなくなりつつあった初回タイヤ交換時あたりから感じておられたのかもしれません。もちろん、OE(Original Equipment, 新車装着)品が非常に優れたタイヤだった可能性がありますが、その後、サイドウォールが固めのタイヤ選択をされているのは、タイヤの一部特性で気になる部分の改善を期待されたのかもしれません。サイドウォールが固いと横方向の力に対してはたわみにくくなりますから、「ふらつき」という一点を抑えるには効果があるでしょう。
しかし、タイヤは様々な機能を担います。それらのバランスが大切ですから、タイヤの機能をバランスよく感じるためには、タイヤを路面に接地させるよう車体側を整備しなくてはいけません。
↓変形したマウントラバーも新品に交換します。
ショックアブソーバ交換は、タイヤを適切に路面に接地させるための整備なのです。乗り心地は、正しい足回りと正しいタイヤ選定後の結果と考えます。足回りが不適切だと、タイヤのトータルでの良否が判断できず、偏った機能、突出した性能を求めがちになります。ショックアブソーバ交換後、お客様に同乗いただき、最終調整のための試運転。(メモの通り、車高は改善しました)
上位グレードの車両のためタイヤは扁平でホイールが大きいものが装着されています。サイドウォールの硬さで安定を改善していたタイヤの機能は、もはやアブソーバが担いますから、余った機能は乗り心地の硬さとなって現れました。ハンドルの応答性の低下は、角張ったタイヤショルダーが改善していたようですが、アブソーバが正常になると、ステアリングを切り込んだときの手応えに不均一を感じるようになりました。
OE品が基本で理想だと思いますが、現行のAF(After Market)品でも一流メーカー品なら間違いないでしょう。今回、足回りが適正になりましたから、現在のタイヤと、今後装着されるタイヤとの違いを感じてみてください。
この度は、大変遠方からご来店いただきありがとうございました。心より感謝申し上げます。今後ともいろいろなご相談に応じますので、どうぞお付き合いよろしくお願いします。
カクシカおじさん says
師走のお忙しいなか、先日は夜遅くに作業をしてくださりありがとうございました。ご無理を言い即日に作業をしてくださったおかげで、後日私の都合が変更になり非常に助かりました。
このたびのショックアブソーバほかの整備で、18万kmの走行で劣化しておりました我が車の足回りが新車同様(新車以上かも)に戻りましたが、高速道路を使っての深夜近くの帰宅時ビックリしました。
今までは速度が上がると車体がふらつくこともありましたが、軽四の限界速度でも全くふらつくことなく、前輪の接地感が無くなることもなく、四輪のすべてが路面に吸い付いているような感じで、非常に安定した走りになっておりました。
しかも事前予測では、カヤバのショックに換えると硬くなりがちと聞いておりましたが、貨物車にも乗っていることもありそれから比べますと、思ったほどガチガチと言うわけでもなく、あくまで我が車の場合ですが、かなり劣化してはいましたが純正よりも多少シッカリ感がある、といった程度でしたので、純正ショック交換にするよりもかえって良かったという結果となりまして非常に満足いたしました。
もちろんショックアブソーバ交換後の、綿密なる調整のおかげがよく効いていることも合わせて申し添えておきたいと思います。
ちなみに持ち帰った劣化したショックをつぶさに見てみますと、前後とも手で簡単に底まで押し込めてしまい、元に戻るのに10秒ほどもかかるとか、特に劣化の激しかったリヤー側ショックでは、手で押し込む際に中からジュルジュルと音を立てるほどで、ほとんどに減衰力が無かった状態のようでした。
さすがに5万km毎=ほぼ毎年での新品交換は無理かもしれなかったけれど、本来はもっと早くに交換しておくべきでしたが、やはり走行距離過大によるウォータポンプやサーモスタット、点火プラグ等の重要部品の交換に費用がかかってしまい、後回しになっていたことは大いに反省すべき点としまして心に留めておきたいと思います。
今回のショック交換では車検整備ぐらいの費用を要しましたが、今後カヤバのニューSRスペシャル、どう劣化していくのか観察していくことになりますけれども、交換費用の点から短期間で劣化しそうなリヤーのみ交換も含めまして、よく検討したいと思います。
あとひとつだけ残念だったのが、車体装着前に新品ショックを手で押してみてどんな感じだったのか確かめるのを失念したことでしたが、次回交換時には必ず確かめてみたいと思います。
さて問題のタイヤですが、我が車が新車時に履いておりましたOEMタイヤである、ダンロップ SP SPORT 300 というタイヤ、トレッドパターンのせいなのかロードノイズが非常に大きい点を除いて、私的には全く不満はなくて、これで新車からほぼ2年間で6万kmを走りました。
この劣化していた純正装着タイヤ末期と、エコピアPZ-XCに交換した直後に前後して所用で九州道を使って2度鹿児島県へと行ったことがあったのですが、ショックの劣化状態はほぼ同じ状態なのに、エコピアのほうはけっこうフワフワ感がありまして、熊本県の八代(やつしろ)から~人吉までの長区間続く山間部の急なカーブでの乗り心地の違いに大きな差があり、非常にビックリしたことがありました。
今思えばショックも劣化していたのでしょうが、今回教えていただきましたとおり純正装着OEMタイヤの出来が非常に良かったのでしょう。これまではこのことはそんなに意識していなかったことでした。
一時期は純正装着タイヤを取り寄せて装着しようと考えてみたものの、ロードノイズが非常に大きいという大欠点があり、高速道路の長距離運転ではこれは結構こたえるので、他のもので代用ということでしたが、
このたびは足回りが元に戻り新車以上となったので、タイヤ装着基準も一度リセットし、良質の純正中古ホイール入手も考えながら夏タイヤのインチダウンも含めまして、次回の夏タイヤにつきましてはよくよく吟味して決定したいと思います。
はがくれE says
学校でのビデオ実習の時、ショックアブソーバーの状態で制動距離が変わるという映像を見た時は、ビックリしたので今でもよく覚えています。その時からショックアブソーバーは重要だと感じていました。
しかし、ショックアブソーバーの重要性の認知度はかなり低いのが現状で、重要性を伝える難しさも感じています。
いきなり性能が落ちるわけではないので、その状態がいいのか悪いのかがわからなくても当然な気がしますが、著しい異音が発生しない限り、アブソーバーの他ブッシュ類の交換の作業依頼を受けない現状も残念だと感じています。
masa says
タントですが私もダンロップ SP SPORT 300 が新車時に装着されており、2年・1万キロでトレッドサイドのひびが入ってきたため、エコピアEP150に交換しました。交換してすぐブレーキの利かなさに正直びっくりしました。抵抗が少ないということですね。SPスポーツと比較してサイドウォールが固く乗り心地が悪くなりました。燃費もSPのほうが1割程度良いという本末転倒な結果となりました。長持ちさえすればSPをもう一度装着してみてもいいと思っています。
たけし says
皆様たくさんのコメントありがとうございます。
カクシカおじさんさん>
この度は大変遠方からご来店いただき、心より感謝申し上げます。そして、ショックアブソーバの大切な役割を実感いただけたことを大変嬉しく思います。
タイヤに関しまして、大切なことをお伝えし忘れていました。運転者に危険だと感じさせるタイヤは良いタイヤです。それは過度にグリップ力や、ケース剛性が高くなく、限界に到達する随分前に運転者に危険回避を促します。第一に速度を落とすと思います。カーブの進入前に緊張を与えると思います。しかし限界はまだ先にあって、実際は安全な領域なのです。
僕は、酷評されているタイヤを良いと感じることがとても多いのです。タイヤの限界近くまで運転者にインフォメーションを与えないタイヤは、限界を超えた領域をご存知でない運転者に「虚偽の安心」を与えがちです。
コンテの仕上がりを確認した山坂道のドライブはいかがでしたか?カーブ途中の段差で少々ピーキーな特性だった車体の姿勢は、もう少しショルダーが丸く、サイドウォールの柔らかいタイヤだったら、滑らかに走破できたと思います。
スポーツタイヤと称する運転が上手になったように感じるタイヤから、危険を感じるタイヤへの変化は歓迎すべき傾向だと思っています。
はがくれEさん>
そうですね。曲がるだけではなく、止まるも、走るも全ての自動車の挙動に影響するのがショックアブソーバですね。ブッシュ類も大切ですね。足回りの整備を実施したお客様は、皆様その大切さを実感いただいていると思います。
masaさん>
EP150は、まだ経験がありませんが、そのようにお感じになられたのですね。機会があれば、僕なりに感想を述べさせていただこうと思います。
カクシカおじさん says
追加でさらなる詳しいご教授ありがとうございました。じっくりと読ませていただきました。
またここに触れられております事柄以外にも、作業当日にいろいろと教えてくださいましてありがとうございました。またこちらにコメントをくださいましたお二人の方もありがとうございました。
ショック交換後の現在は、14インチの65扁平の冬タイヤに転換し安定して走っております。私は普段はおとなしい運転しかしないので、仕上がり確認のための夜の雨の中の山坂道ドライブはちょっとビックリでしたが、面白かったです。
そして次の新品の夏タイヤを転換するのにはもう幾分かかりそうなので、じっくりと検討してみたいと思います。
カクシカおじさん says
追記です。
整備中に少しばかり触れられておられましたが、今とある自動車雑誌を読んでいますと、来年2016年 2月 15日から軽自動車用向けの3種類のレグノのタイヤが発売されるようです。
たけし says
カクシカおじさんさん
お返事ありがとうございます。
あの山坂道を選ぶ理由は、比較的低い速度でサスペンションが大きくゆっくりと動作して、人間の体をストレッチしているような状態が作れるからです。
整備してお渡しする前に馴染みを与えて最終調整し、初期に「ズレ」を起こしにくくするためです。
夜の雨降りで視界が良くなく、慣れていらっしゃらない道でしかたらびっくりされたかもしれませんが、タイヤを含めた足回りの状態がとてもよくわかりました。
現在履いていらっしゃる65扁平のスタッドレスの方がハンドル操作に対して過敏でなく、いい感じではないでしょうか。
軽自動車用レグノの情報ありがとうございます。
レグノは別格です。サイズが合致するなら選ばない理由はありません。