ピストンロッドの動作が極端に渋く、機能を果たしていなかった倒立ラム式のビルシュタイン製純正ショックアブソーバ。
前回記事
『気になる症状を総点検(TA-BH5 スバル レガシィ 足回り異音・車検整備)』
『KYB スーパースペシャル for STREET (TA-BH5 スバル レガシィ 乗り心地改善 ショック交換)』
急激な路面からの入力でアッパーマウントに過大な力が加わり、金属同士の干渉を伴って乗り心地以前に、びっくりするような「ゴトッ!」という異音を発していました。
平成14年式 TA-BH5 EJ20ターボ 5MT 走行距離 70,000km
もちろんショックアブソーバの交換が必要ですが、純正の倒立式は非常に高価です。社外品でも優れたアブソーバなら、特に倒立式という形式にこだわることはないと考え、数少ない選択肢の中から、往年の名品 KYB スーパースペシャル for ストリートを選びました。わずか6台分の在庫で生産終了。間に合ってよかったです。
ピストンロッドの形状が異なるため、下位グレードのバンプラバーとダストカバーを用意しました。
ショックアブソーバの無負荷全長はKYBの方が前後とも長く、サーキットのように整地されていない一般道には断然有利です。サスペンションストロークは長いほうが、路面からの衝撃を有効に吸収します。
静止接地状態からサスペンションが縮む方にも伸びる方にも、十分なストロークが必要で、無闇に車高を下げると縮む方に余裕が無くなるばかりか、サスペンションアームの角度が車体を支えるのに不利な角度になり、ロール量の増大も招きます。
「数センチダウン」とか、外観だけの中途半端な改変は避け、適切な車高と、適切なサスペンションストロークに注目することが大切だと考えます。
アッパーマウントの硬質ラバーは、長期間の装着で大きく変形していました。
スプリングシートも一部断裂がありました。
暫定的に組み付け、試運転して各部馴染ませます。
減衰力4段可変のスーパースペシャル。いつもの山坂道では無論、前後とも最強の「4」がもっとも乗り味が滑らかです。
しかし市街地の低速度では減衰力の高さが不快に感じるかもしれません。一般的にはフロント「2」、リア「1」がよいでしょう。そして高速道をメインに走行される場合は、前後とも1段ずつ上げてみてはいかがでしょうか。
サスアームの調整を入念に行って完成です。
以下は接地面からフェンダーアーチ頂部までの寸法の変化です。入庫時、ピストンロッドが異常に硬かった左フロントは一番車高が下がっていました。調整後は左右のバランスが均等になり、乗り味も角が取れた感じの滑らかなタッチとなります。
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入庫時 → 暫定組付時 → 調整後
右前 662mm → 665mm → 661mm
左前 654mm → 659mm → 661mm
右後 662mm → 661mm → 665mm
左後 661mm → 666mm → 665mm
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r.t says
こんばんは。
先日はありがとうございました。
約1週間で街乗り、高速、ワインディングと一通り走ってみました。
正直なところ、想像していたよりも堅い脚というのが第一印象です。ただ左前の異音がなくなっただけでも、かなりのストレスが無くなりました。
その後、高速道路に乗ると印象が一変しました。知らず知らずのうちにスピードが乗ってしまう感じで、ある意味危ないですね(笑)。
さらに今日初めて裏山のワインディングを走ったのですが、正に本領発揮といった感じで、脚がしっかりストロークしている感じがたまりませんね。エンジンも今迄よりも軽快に吹け上がりますね。というか、脚が普通に動くようになった結果ついつい踏みすぎてしまうので、そういう印象を受けるのかもしれません。僕レベルでは今のセッティングで充分楽しいです。早くもこの後に控える冬休みのスノードライブが楽しみです。
また今度、マニアックな車の話聞かせてください。
今後ともよろしくお願いします。
たけし says
r.tさん
先日はこちらこそありがとうございました。
そして、早速いろいろな場所をドライブされて、嬉しいご感想をいただき感激してます。
お感じになられた印象通り、BHレガシィの純正の足回りは、少しフワフワした要素がありますから、KYB SS にすると市街地など低速走行時はコツコツと硬いと思います。
しかしそれは高速走行や、山坂道などでの強い入力を「いなす」ためのもの。今までに経験のない安定感ではなかったでしょうか。
サスペンションは路面をどれだけ的確にトレースできるか、タイヤを如何に効率よく接地させるかが最重要です。KYBの僅か1センチのストロークアップが、さらに路面の捉え方を正確にしたに違いありません。
1000kmほど走行されるとアブソーバも少し馴染んでくると思います。せっかくの4段調整ですから走行される場面でいろいろ変化させて楽しんでください。
この度は本当にありがとうございました!