12ヶ月点検でお預かりしていますアルファ147は、まずタイミングベルト交換と適切なバルブタイミング調整を終えました。
平成18年式 GH-937AB 2.0TS selespeed 走行距離 27,000km
右フロントのタイヤハウス内からアプローチするタイミングベルト周りの整備。輸入車のブレーキダストは国産車の比ではなく、顔や作業着が汚れるのを防ぐためにエアパッキンなどでブレーキ周りを保護します。
稼働時間が少ない個体は、回転軸に偏った負荷が掛かりますので、ウォーターポンプにこのようなクーラント漏洩痕が見られるものが少なくありません。
また、一般的に長寿命といわれている貴金属電極のスパークプラグ。中古車として手にされたとき、エンジンオイルレベルゲージに触れないほどのエンジンオイル量だったと伺っておりましたので、電極磨耗が促進される燃料室内エンジンオイル燃焼の状態を確認するために全数点検しました。
2種類、8本のスパークプラグの電極は予想通りの磨耗で、交換が必要でした。
円形断面であるはずの中心電極。接地極側面が磨耗して楕円になっています。
さらに点検を進めます。右ホイールアーチから右フェンダー、右ドアにかけて油汚れのようなものがあったとのことで心配されていたドライブシャフトのダストブーツの状態に異常はありませんでした。
破断面は繰り返し振動による金属疲労断裂に見えます。エキゾーストマニホールドの離脱痕がありましたので、オーナー様にお尋ねしましたところ、排気漏れで今年に他所で修理されたとのこと。取付が適切でなかったのか、元々弱い箇所なのかは不明ですが、一旦新品を取り付けて今後の経過を見たいと思います。
1,500kmほどの走行距離で、エンジンオイル消費は見られませんでした。そしてしばらくぶりに接地させて試運転に出かけます。各部整備したツインスパークは、吸気音がより鮮明に聞こえるようになりました。バルブタイミングに大きな狂いがありませんでしたので、調子の向上は主にエンジンオイルとスパークプラグの効果だと思います。
セレスピードの自動クラッチワークとダウンシフト時の回転合致に違和感がありますので店に戻ってmultiecuscanを接続。
ある情報で28.000~28.500mmに調整するのがよいとされる Clutch pressure plate travel は30mm以上ありました。
調整・試運転を繰り返して適切といわれる値にクラッチロッドの調整ネジで調整しました。
そして、今後のためにmultiecuscanでメニューを確認。アルファ156 selespeedのエンジンECU(ME3.1)には無いリセット操作の用意があるようです。
通算で4基目のツインスパークのタイミング調整。お渡し後の調子の変化、ご感想をお待ちしております。
いくつかの同様の記事を掲載していますが、僕は決してアルファロメオに精通している整備士ではありません。イタリア語が原本の修理手引書を自分なりに解釈して調整を施しています。
いろいろ悩んでいると、日本語翻訳の手引書の写しをわざわざお持ちくださったコルソマルケさん。悩み事を聞いていただけるだけで気持ちがとても楽になります。それに日本語の手引きはとても安心です。いつも本当にいろいろお世話になりありがとうございます。この場で御礼申し上げますとともに、今後ともよろしくお付き合いお願いします。
↓僕も読んでいるメンテナンスブックです。アルファオーナー様におすすめの書籍です。
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