車検整備でお預かりした 三菱 タウンボックス はご覧のような青いレンズのヘッドライトバルブが装着されていました。
平成18年式 ABA-U61W 3G83ターボ 4AT 走行距離 34,000km
アフターマーケットのこのような着色レンズのヘッドライトバルブは、装着するとまるで視界が明るくなると思うような記述がパッケージにあります。
まず誤解してはいけないのが「色温度」という単位。天体観測に用いられる指標で、恒星の「色」を表します。数字が大きくなるほど青く、小さいほど赤く、冷暖色を定量的に表すものだということです。「数字が大きいほど明るい」と間違った連想をさせる打算が働いているのは明白ですが、ウソの表記ではありません。そして色温度に加えて「明るさ感100Wクラス」などと併記されています。
青白い光がお好みで、保安基準を満たせば装着するのは問題ないのですが、もし本当の明るさを求めるなら透明のレンズのハロゲンバルブに限ります。
カットオフラインは明瞭ですから、心配なのは光度です。というのも青ガラスを光が通過すると無視できない光度低下があるからです。
車検コースでの計測結果は、
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左灯:81hcd 左方8.1cm(○) 下方9.2cm(○)
右灯:68hcd 左方1.0cm(○) 下方10.6cm(○)
特に右灯が保安基準ギリギリの光度でした。透明のバルブだとほとんどの場合100hcd以上ありますから、その暗さがわかっていただけると思います。
自社ヘッドライトテスターの調整値は、左右方向0cm、下方6cmに統一しています。
合格範囲は、光度64hcd以上。左右にそれぞれ27cm、下方2cm~15cmの範囲です(いずれも車両前方10mの照射位置での計測値)
青いガラスのヘッドライトバルブは、青白く暗い光を出すということが計測の結果からもわかるのでした。
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はがくれE says
白いと明るく見えるんですが、ロービームで走りながらよく見ると、意外と近い距離しか照らしていないことがわかります。だいぶ目の錯覚だなと感じますね。
汎用HIDキットが普及するようになってから、色温度=明るさという解釈が多くなった気がします。実際、自分も以前はそう思ってた時期もありました。
単純に明るくしたいときは、寿命は別としてハイワットタイプのハロゲンバルブに変更する方が、価格の安いHIDキットに交換するよりよいのかと思っています。
たけし says
はがくれEさん
樹脂レンズが主流のヘッドライトユニットにはあまり消費電力の大きなバルブは熱の影響があるので、定格は守る方が良いかもしれません。
他に明るさを求めるなら補助灯です。ライトユニットを新品にするというのもひとつの方法ですね。
光源を明るくすることを考える一方で、運転者の夜間視認の限界を知るとことはとても大切なことだと思います。