本日も京都運輸支局車検コースは繁忙期の輻輳。並びはじめから車検終了まで1時間以上を費やします。
今年9月から始まるヘッドライト検査、すれ違い用前照灯試験のために、僕は毎回、すれ違い用前照灯(ロービーム)で調整して車検に臨んでいます。それは、不合格率が高くなると予想しているすれ違い用前照灯検査に習熟することが目的です。
今日、車検場に持ち込んだ平成18年式 ホンダ ステップワゴン DBA-RG3 のロービームは、Z型配光と呼ばれるカットオフラインがほぼ水平の照射パターンです。経験上、この配光は不合格が多いパターンです。
結果は、概ね予想通りで、
自社ヘッドテスターの調整値は、左右方向0cm、下方6cmに統一しています。合格範囲は左右にそれぞれ27cm、下方2cm~15cmの範囲です(いずれも車両前方10mの照射位置での計測値)。
審査事務規定の一部抜粋です。
「すれ違い用前照灯は、夜間に自動車の前方にある交通上の障害物を確認でき、かつ、その照射光線が他の交通を妨げないものとして、灯光の明るさ等に関し、テスタ等その他適切な方法により審査したときに、次の基準に適合するものでなければならない。ただし、5-57-2-1①後段及び③後段の計測の条件で計測し、それぞれの判定の基準に適合した自動車にあっては、当分の間、視認等その他適切な方法により審査すればよい。」
要約すると、「当分の間、全車両ハイビームで検査してよい」としています。規定に定められた、根本的に難しすぎる計測・判定の事実は、やはり「当分の間」仕舞っておくべきではないでしょうか。平成21年2月1日の走行用前照灯の照射方向の判定値の改正があってから以降、現在も、前照灯試験で不合格になる受検車両はほとんど無くなり、とても安定した検査業務遂行に感じるからです。今日の多くの受検車両でも、ロービームで受検しているのは全体の1%にも過ぎないでしょう。
「夜間に自動車の前方にある交通上の障害物を確認でき、かつ、その照射光線が他の交通を妨げないもの」というすれ違い用前照灯の性能要件。それを満たすためのシンプルな計測・判定方法がきっとあるはず。
今年の9月1日に開け放たれるパンドーラの箱は、ギリシャ神話と同じくすぐ閉じられ、「希望」という名の新しい展開が箱の中に残ることを心から願います。