法定24ヶ月点検と継続検査代行(車検整備)でお預かりしておりますプジョー307SW。
平成15年式 GH-3EHRFN RFN AL4 走行距離 58,000km
問題が多いと噂されるAL4オートマチック搭載車です。お客様も年に数回、フォルト表示と共に発生する不調をご承知で、費用が高額なことが予想される大掛かりな修理よりも現状維持をご希望でした。当方でATFの部分交換を数回に分けて実施し、改善傾向が見られた事例をご覧になり、同様の処方ができないかとのご相談をいただきました。
多くのオートマチックに備わる水冷式オイルクーラーの存在しないAL4は、過熱によるATFの劣化が一番の心配です。一般的に耐熱性が高いとされる化学合成油がよさそうですが、僕が自信をもってお勧めできるATFはなく、Web上でなされている議論の最大公約数的判断でA.S.H.のVFSをお客様に手配いただき、交換作業のみ承るスタイルを大変失礼ながら継続しています。
今回、走行距離約6万キロまで無交換だったATFを約半量交換すると、変速の滑らかさが確実に増したようです。オートマチックの傾向を把握してから点検作業に入りました。
装着されていたフランスEYQUEM製の4極接地の点火プラグは、磨耗が進んでいて、前回、前々回の点検整備記録簿を拝見した限りでは交換歴はありませんでした。取り寄せた点火プラグはドイツBOSCH製。一般的な1極接地タイプです。パッケージに印刷された獅子のシンボルが無ければ困惑していたところでした。
その他、油脂類の交換や点検を完了し、保安検査に入ります。輸入車のすれ違い用前照灯(ロービーム)の計測事例は大変貴重ですが、予想以上にカットオフラインが不明瞭で、かつ光度が保安基準ぎりぎりでしたので、今回は走行用前照灯(ハイビーム)で検査に臨みました。
上下方向の調整箇所は容易に見えるところにありましたが、左右方向の調整個所はロービームバルブを交換するカバーを取り外した奥に配置されていました。
最後に断線していたブレーキランプバルブ。工具を使わず取り外せるテールランプユニットです。
随所にエスプリ感じるフランス車の整備。僕のできる範囲でお手伝いさせていただきますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
↓トラブルの多いAL4に注入している全合成ATF。定期交換で調子を保っている車両多数