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前照灯試験(ヘッドライト検査)と保安基準《その2》

前回記事『前照灯試験(ヘッドライト検査)と保安基準《その1》』の続きです。

車検場で最も不合格率の高い前照灯試験(ヘッドライト検査)。

不合格が目立つ第一の理由は、前照灯試験(ヘッドライト検査)の計測誤差に対して、道路運送車両法で定められた保安基準の範囲が狭く厳しいことにあると思います。車検場内の計測は自動追尾のロボットテスタが行い、「照射位置」と「光度」で審査判定されます。そして、現在の前照灯試験(ヘッドライト検査)は、申告しない限りハイビーム(走行用前照灯)での計測です。
審査事務規定(走行用前照灯)


ヘッドライトをハイビームで点灯させ、前方10mの最高光度点の位置(一般に光軸と呼ばれます)を計測、審査判定されます。その合格範囲は左右方向にそれぞれ270mm、水平より上方は100mm、水平より下方はヘッドライト取り付け高さの1/5(取り付け高さ600mmなら120mm)です。

テスタと自動車は1mの間隔で向かい合い、照射光はテスタ内のフレネルレンズで集光されて10m先の像として計測されます。すなわち、テスタの受光面では左右それぞれ27mm、上10mm、下12mmの範囲内に最高光度点が収まる調整をしないといけないのですからその厳しさがお分かりいただけると思います。

タイヤの空気圧、乗員や搭載物の重量、測定する地面の水平度などで容易に変化する程度の数値です。無論、検査時車両状態は規定されてます(空車状態に運転車1名乗車など)。

検査の厳しさの一方で、対向車を眩惑する不適切なヘッドライト装着した自動車を取り締まらないことに矛盾を感じますが、新しい車検証を発行するために必要な審査ですから、できるだけ滞りのないように、車検場のテスタと店のテスタの誤差を定期的に補正しながら、ここ3年は不合格率0.005%未満に抑えることができました。

ところが、今年に入って、前照灯試験(ヘッドライト検査)の方法が変わる報せを目にしたのです。検査をロービーム主体にするものです。これは次元の違う厳しさを感じました。

次回『前照灯試験(ヘッドライト検査)と保安基準《その3》』に続く。