バッテリーの寿命は使用環境によって様々です。適切な結果を示すテスターも良い物がありませんので、個別に期間や走行距離で交換をお勧めしています。
平成15年式 UA-SCP10 1SZ-FE 5MT 走行距離 211,000km。
ご承知の通り、カーバッテリーは鉛蓄電池です。二酸化鉛の陽極と、海綿状の鉛の陰極を、希硫酸の電解液に浸した二次電池(繰り返し充電可能な電池)です。鉛蓄電池は内部抵抗が小さく、メモリー効果も無いので、自動車用途として最も安価で優れた二次電池といえます。
鉛蓄電池の劣化は、第一に電極の劣化でしょう。まず、陰極では低融解の硫酸鉛結晶の析出(サルフェーションといいます)が起こります。サルフェーションは過放電で起こりやすく、一旦結晶が析出した電極表面は正常な充放電サイクルに戻りにくく、結晶化に伴う電気抵抗は、エンジン始動時など大電流放出時、特に影響が大きくなります。ライトの消し忘れなどで完全に干上がってしまったバッテリーの新品交換を勧められる理由です。
一方、陽極は二酸化鉛の「脱落」や「崩落」が起こります。これら電極の物理現象は、追充電で回復するものではありません。そもそも車両に搭載してエンジンが始動している間はオルタネータから積極的に充電しているわけですから、外部からの充電は、バッテリー上がり時の応急処置以外はほとんど効果がないと考えるべきでしょう。
バッテリーの寿命を自動車ユーザーが感じるのは、ほとんどがエンジン始動時です。エンジンスターターモーターの電気的な要求は、短時間の大電流です。サルフェーションや電極脱落で容量低下の起こったバッテリーでは、その要求に応えられません。
今シーズンは例年にない寒い日が続きます。始動不能に陥る前に、適切なバッテリーを適切な時期に交換を。
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