初めて拝見する日産 マーチです。ちょうど12ヶ月点検の時期でしたので、お車を一通り点検するために法定点検を実施しました。
平成16年式 CBA-AK12 CR12DE 4AT 走行距離 96,000km
グローブボックス内の車検証ホルダーを開けると、ユーザー車検代行の点検記録簿ばかりが保管されていました。車齢10年、走行距離10万キロ目前で、オーナー様はあと1年、調子よくお付き合できれば嬉しいとおっしゃいます。
CR12DEエンジンはアルミ合金のシリンダブロック。クーラントの色の変化がほとんどなく、劣化が目視で発見し辛いものです。
ラジエータ下部のドレーンコックを緩め、クーラントを容器に勢いよく滴下すると表面が細かい泡で覆われました。これは消泡性能の低下を意味します。
「キャビテーション」という現象があります。主にウォーターポンプなど圧力差が大きくなる部位で、局部的に飽和蒸気圧より低くなって沸騰する状態です。そして、キャビテーションは硬い金属表面を壊食することで知られています。金属製のウォーターポンプの羽根車が完全に消失してしまった例もありました。バブルパルスの破壊力を抑えるためにもクーラントの消泡性能は大切な機能で、クーラントの定期交換が欠かせないのです。
クーラントは全量交換することにしました。
その他、エンジンオイル、オイルフィルタを交換。電動アシストタイプのパワーステアリングにはモーターの異常を検出していました。
そして片白金電極のスパークプラグの交換時期が不明でしたので、お客様には早期交換をお勧めしました。