懇意の板金工場から応援要請が入りました。タクシー用途のトヨタクラウンセダンのトランク開閉機構の不具合です。
トーションスプリングを交差させた昔ながらの腕木式トランク開閉機構は、小型のコンフォートではほとんど故障がないのですが、トランク後端にコンビネーションランプが装着されている中型のクラウンセダンはトランク重量が重く、可動支点に負担が掛かりやすいので、まれに故障することがあります。
腕木の支点は室内のスピーカーボードの下に配置されていますので、整備のためにはリアシートを取り外します。
今回の不具合は、腕木の支点のスリーブが磨耗し、そこに貫通するピンも著しく食い込んでいました。
漆黒の中型車はお手入れが頻繁。運転手さんはトランクに積まれたオーストリッチの毛ばたきを一日何度も出し入れしますからトランク開閉回数も相当なのでしょう。可動部にわずか不調が生じても無理に開閉を繰り返し、このような状態になると思います。
ボンネットは2本のダンパーが装着される高級装備ですが、使用頻度と積荷容積を考えると、リアのトランクこそパンタグラフのダンパー式に仕様変更すればいいのにと、ヤニこい(注1)構造を見るたび思うのです。
注1:京ことばで、脆弱で壊れやすいこと。