過日、国土交通省通達による整備主任者の技術研修でアイドリングストップ(&スタート)システムの新技術について受講しました。
激化する燃費競争。
ガソリンエンジン車の燃料消費を少しでも抑制しようと、無用なアイドリングを停止する機構が各社様々な方式で開発、製品化されています。そもそも、アイドリングという低回転でエンジンを回す理由は、ガソリンエンジンの起動トルクが非常に弱いからです。
アイドリングを止めるのは簡単。
難しいのは再始動です。エンジンが停止した状態の信号待ちや右折待ちから自動車が発進する際、アイドリング状態だからこそ成立していたエンジンの俊敏な応答性が、エンジン再始動に求められるからです。従来の緩慢なエンジン始動では到底間に合いません。
さらに、アイドリングを止めるとエンジンが回転して機能していたものが止まったり、不足したりしますので、それを補間する装置の追加や増強の必要があります。専用バッテリー、補助バッテリーに高容量キャパシタ、DC-DCコンバータ、それらに見合う電装品にそれを制御する電子回路…
単純で高多機能だったアイドリング状態を無くすと綻びがあちらこちらにでき、それを繕うように複雑化、高度化、高コスト化されているように感じます。メーカーの技術者をはじめ、たくさんの方々の労力がつぎ込まれたすばらしい新技術や新機構なはずなのに、気持ちが落ち着かないのは、どこか二律背反的な要素があるからでしょう。
最近目立つようになった運転補助、衝突未然防止、誤操作防止の機構もそうかもしれません。これらはあきらかに人間の感覚を鈍らせる方向ですね。
何が Customer First か? 僕は、自動車というものはもっと人間の感性に響くものであって欲しいと思うのです。