四輪自動車は一部を除いて搭載されるエンジンのほとんどが水冷式。
ロングライフクーラント(LLC)、もしくはラジエータ液と呼ばれる冷却水が各部経路を循環しています。
繰り返し申し上げていますが、エンジンオイルよりその管理が重要で、一般的に交換サイクルが長い(概ね車検毎交換の)ため、オーバーヒートでもしない限り意識されないのかもしれません。氷点以下でも凍らず循環することが重要な性能のひとつで、こちらは主成分のエチレングリコールが担っていますが、それ以上に重要なのが
「防錆性能」
です。
主成分のエチレングリコールと比較して、防錆剤の添加量はとても少なく5%程度。原液は水で希釈しますから、実際は数%の添加量で使用していることになります。化学反応の詳細は他に譲りますが、使用過程で防錆剤はその役割を終えて冷却水自体の防錆効果は徐々に低下していきます。
経験上、クーラントに与えた熱の積算値と防錆効果の低下に強い相関があると思います。年間走行距離が3万キロ以上、高負荷運転多用、長時間アイドリングなど。
詳細は承知していませんが、ここ10年ほどで「有機酸系防錆剤」を配合した超長寿命タイプのクーラントが主流になりつつあります。有機酸というと酢酸、クエン酸、りんご酸とかでしょうか?有機酸「系」ですから有機酸塩なのかもしれません。
寿命が倍ほどに達するといわれる超長寿命クーラントも、やはり熱の積算値を意識した交換サイクルにするのがいいと思っています。防錆性能の低下したクーラントが循環していてもエンジンの調子にはほとんど影響しません。
しかし、水路の金属は錆でボロボロ… 樹脂はサクサクに朽ちていき… 指の力で簡単に粉砕されることもあります。こうして徐々に蝕まれていき、漏れや水路の詰まりが発生してからでは手遅れという例は枚挙に暇がありません。逆に適切にクーラント管理がされた車両はいつまでも水路が綺麗で全く劣化を感じさせませんね。
↓こちらは車検で入庫中の適切に管理された平成13年式の初代ステップワゴン。クーラント注入中です。
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