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謎のバッテリー上がりの正体は???(Z8 プジョー 607)

Z8 プジョー607 しばらく放置するとバッテリーが上がってしまうという故障です。お客様はある程度車の構造はご存知です。場所が離れていることもあって、まずは遠隔指示で軽作業をお願いします。


プジョー607はエンジン始動専用のメインバッテリー(ボンネット内)と、電子制御システム用のサブバッテリー(トランクルーム内)があります。バッテリー(メイン・サブ)を新品に交換しても、しばらく放置するとサブバッテリーのみがあがってしまい、リモコンロックが作動せず、電子制御システムも初期化されてしまうそうです。

始動用バッテリーまで放電することはないようで、スターターは回って始動でき、しばらく走行するとサブバッテリーにも充電され、充電警告灯は消灯します。

サーキットテスターでエンジン始動時のメインバッテリーの端子電圧も測定してもらい、オルタネータに問題ないことが確認できましたので、自走でご来店いただきます。目に見えない放電をどう診断しましょう。

まず、リモコンロックしたあとに放電するということですから、ドアロックをせずに週末放置で明後日の結果をみましょう。
予想通りサブバッテリーは上がっておらず、問題なくエンジン始動。チャージ警告灯の表示も出ません。ドアロックした場合としない場合の違いはなんでしょう?

PP2000診断機準備。うまく通信できたようで車台番号がパソコン画面に出てきます。

さらに車両同定のための情報を求められます。ボンネットを開け、所定の位置にステッカーの存在を確認→指定の4桁入力。

サブバッテリーが完全に干上がっていたせいでしょうか。いろいろな一時的エラーが出ていました。すべて消去し、アラームサイレンに関する異常だけ残ったのです。

リモコンでドアロックするとアラーム作動します。ドアロック後に異常電流が流れ続けてサブバッテリーが干上がるのでしょうか?人為的なミスの可能性を排除するために、後付けのナビゲーション、ETC車載器、これらの機器の接続に問題がないかをまず確認。→ 問題なし。

次に、リモコンでドアロックしてサブバッテリーの暗電流測定。約1分は2A程度流れますがそれ以降はほぼ0A。 この程度ではバッテリー上がりにならないはず???

リモコンでドアロックし、そのまましばらく放置して他の作業をします。すると、いきなりハザードが早い周期で点滅しはじめました!!

しかしおかしい… セキュリティーアラームの作動のようですが、警報が鳴りません。最近中古でご購入されたお車です。全オーナーが不具合隠しのためにスピーカーを取り外していた可能性があります。これが発見を遅らせた原因ですね。

このセキュリティーアラームの誤作動発生はランダムですが、ハザード点滅は非常に電気負荷が大きく、バッテリーが干上がるには十分でしょう。

車載の取扱説明書によると、アラームの設定は3種類あります。

    ①「内部検知+外部検知」(リモコンを使用した通常のドアロックで作動)
    ②「外部検知のみ」(リモコンを使用してロックする前に煩わしい手順を踏む必要があります)
    ③「非作動」(リモコンを使わず、メカニカルキーでドアロックする必要があります)

この3種の設定でそれぞれドアロックして様子を観察します。その結果、内部検知部に誤作動の原因があることがわかりました。
内部検知の主なセンサーは、ルームランプ付近に内蔵されているウルトラソニックセンサーです。

感度が敏感なのでしょうか、それとも車内に見えない誰かが… lll゚Д゚)

セキュリティーアラームの内部検知システムの範疇に異常があるというところまで追究しました。これまでの経過をお客様にご説明申し上げると、これ以上の費用を掛けるより、「外部検知のみ」もしくは「非作動」をドアロックの度にご自身で行うという選択をされました。しかし、煩わしい操作を何とか回避できないものでしょうか…

ウルトラソニックセンサーに小細工して実験。

思惑通りセキュリティーアラームは作動しなくなりました!!ウルトラソニックセンサー本体か、その検知システムに問題があることもはっきりしました。内部の空気の動きをモニターして、ガラスを割って車内侵入する脅威を検知するシステムですが、この内部検知を非作動としてお渡ししました。

今回の故障診断及び処置の費用は、正味作業時間4時間分のチャージ+診断機接続料です。診断機接続でヒントが得られ、費用を抑えて上手く処置ができたと思います。この度はご用命誠にありがとうございました。

最後に… トランクオープナーはこの場所です。