アルファ156 ツインスパーク2.0 です。
ブログをご覧いただき、初めてご来店されたお客様です。新車でご購入され、今までディーラーや輸入車専門店でメンテナンスを受けられていたのですが、オーナー様の思いが仕上がりに反映されず、ご不満の様子でした。
平成12年式 GF-932A2 2.0TS 5MT 走行距離98,000km
まずは現状把握のため試運転です。
僕：「加速が…、言い方が悪くてすみません。一言でいうともっさりしてます。ツインスパークってもっと気持ちよく回って、いい音が鳴るんですよ。それに足回り、ショックが抜けていてぜんぜんダメです。特にリア。」
お客様：「そうでしょ！足回りダメでしょ！今までの店にも訴えてたのにそう言ってもらえたの初めてです！エンジンの回り方は新車から徐々に悪くなったんでしょうか？全くそんなものだと思ってました。」
そうだ、池ちゃんに連絡しよう。整備に取り掛かる前に、仕上がった156の足回りと、調子のいいツインスパークを実際に体感していただくのが一番です。156V6とスパイダーをお借りできないかお願いし、快諾を得ました。言葉で説明するよりライブ感が大切ですもんね。僕がハンドルを握り、２台の完成したアルファロメオを体感いただきます。
お客様：「もう… 笑うしかないですわ…」
僕：「そうでしょ？（笑）」
整備にとりかかります。足回りはお客様がご用意くださったモンローリフレックスを中心にアーム、ブッシュ類を取替え。調整、試運転を繰り返して仕上げました。
エンジン不調はいつもの（？）フェーズバリエータソレノイドの動作不良を確認して、新品に交換。新品価格は最近のユーロ高の影響で５万円を越えます。
↓こちらのフェーズバリエータソレノイドはエンジン始動でプランジャーが飛び出たまま戻らず（正常品はエンジン始動直後一瞬飛び出てすぐに戻ります）、引っかかっている様子。
ここまでで随分調子が戻りました。ところが再試運転すると、4000rpmを越えたあたりに大きなトルクの谷を感じます。燃料不足の印象です。お客様はエンジンの特性（可変バルタイ）と解釈されていたようですが、調子のよいツインスパークにはそのようなトルクの谷はありません。
エアフロメーター不調で燃料不足に陥っている可能性があるので、池ちゃんのスパイダーからエアフロを拝借（いつもご協力に感謝します）。経験不足の僕にとって交換部品があるのはとっても助かります。予想は的中してエアフロメーターを交換し、調子はすごくよくなりました。
ただ… 音が良くありません。それは社外品のリアマフラーが装着されているからです。社外マフラーはとっても高価なステンレス材と高度な溶接技術で工芸品としてはすばらしいのですが、機能面では？マークがつくんです。最近アルファロメオの入庫が増えて感じるのですが、ノーマルで調律されている印象があり、音響に影響する部品は旋律を乱します。池ちゃんが整備の過程をご覧になり、
池ちゃん：「僕が責任取るから、ノーマルマフラーにしない？」
僕：「え？？ 僕もそうしたいし、それがいいに決まってますけど、お客様が購入された高価なマフラーですし…」
池ちゃん：「いいものがわかる人なら大丈夫ですよ（笑）」
というわけで、お客様に内緒でノーマルマフラーへ…。ノーマルマフラーは池ちゃんがご提供くださいました。
すっかり最適化されて調子が戻った156。最後に multiecucan でエンジンECU の Adjustment。仕上がりをオーナー様に試乗いただき、マフラーを元に戻してほしいとはおっしゃいませんでした。なんでも新車からこのマフラーを装着されていたとのことです。すっかり遅くなりましたが、今日から本来のアルファロメオを十分ご堪能ください。この度は、ご用命誠にありがとうございました。
《オーナー様から以下のコメントを頂戴しました》
新車から13年が経過し、足回りを中心にリフレッシュを依頼しました。しかし今回は、足回りに加え、これまでアルファ専門のプロショップに指摘されなかった（無視されていた？）エンジン不調についても適正化してもらうことができました。
エアフロ、ソレノイドバルブ交換、そしてまさかのマフラー純正戻しなどで156はこれぞアルファと言わんはがりにクゥォオーンと心地よい音を室内に響かせて加速します。
これまで、ディーラーやプロショップでは受け身のサービスを受けていましたが、今回たけしさんと整備方針等細かな事を話し合う事もでき、その結果、最小限の出費で最高のパフォーマンスを手に入れることができたと思います。
今後とも156の主治医としてよろしくお願いします(^_^)
ken
《以上、オーナー様からのうれしいご感想でした。》