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車の修理屋たけしくん 京都の自動車整備工場

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アルファロメオ156 2.0TS 最適化(GF-932A2 5MT)

2013年5月27日 By ITS

CA3E2505.jpg

アルファ156 ツインスパーク2.0 です。

ブログをご覧いただき、初めてご来店されたお客様です。新車でご購入され、今までディーラーや輸入車専門店でメンテナンスを受けられていたのですが、オーナー様の思いが仕上がりに反映されず、ご不満の様子でした。

平成12年式 GF-932A2 2.0TS 5MT 走行距離98,000km

まずは現状把握のため試運転です。



僕:「加速が…、言い方が悪くてすみません。一言でいうともっさりしてます。ツインスパークってもっと気持ちよく回って、いい音が鳴るんですよ。それに足回り、ショックが抜けていてぜんぜんダメです。特にリア。」

お客様:「そうでしょ!足回りダメでしょ!今までの店にも訴えてたのにそう言ってもらえたの初めてです!エンジンの回り方は新車から徐々に悪くなったんでしょうか?全くそんなものだと思ってました。」

そうだ、池ちゃんに連絡しよう。整備に取り掛かる前に、仕上がった156の足回りと、調子のいいツインスパークを実際に体感していただくのが一番です。156V6とスパイダーをお借りできないかお願いし、快諾を得ました。言葉で説明するよりライブ感が大切ですもんね。僕がハンドルを握り、2台の完成したアルファロメオを体感いただきます。

お客様:「もう… 笑うしかないですわ…」

僕:「そうでしょ?(笑)」

整備にとりかかります。足回りはお客様がご用意くださったモンローリフレックスを中心にアーム、ブッシュ類を取替え。調整、試運転を繰り返して仕上げました。

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PAP_0024.jpg

PAP_0019.jpg

エンジン不調はいつもの(?)フェーズバリエータソレノイドの動作不良を確認して、新品に交換。新品価格は最近のユーロ高の影響で5万円を越えます。

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↓こちらのフェーズバリエータソレノイドはエンジン始動でプランジャーが飛び出たまま戻らず(正常品はエンジン始動直後一瞬飛び出てすぐに戻ります)、引っかかっている様子。

PAP_0010.jpg

↓飛び出た先端を指で軽く触ると戻ります。
PAP_0009.jpg

ここまでで随分調子が戻りました。ところが再試運転すると、4000rpmを越えたあたりに大きなトルクの谷を感じます。燃料不足の印象です。お客様はエンジンの特性(可変バルタイ)と解釈されていたようですが、調子のよいツインスパークにはそのようなトルクの谷はありません。

エアフロメーター不調で燃料不足に陥っている可能性があるので、池ちゃんのスパイダーからエアフロを拝借(いつもご協力に感謝します)。経験不足の僕にとって交換部品があるのはとっても助かります。予想は的中してエアフロメーターを交換し、調子はすごくよくなりました。

PAP_0007.jpg

ただ… 音が良くありません。それは社外品のリアマフラーが装着されているからです。社外マフラーはとっても高価なステンレス材と高度な溶接技術で工芸品としてはすばらしいのですが、機能面では?マークがつくんです。最近アルファロメオの入庫が増えて感じるのですが、ノーマルで調律されている印象があり、音響に影響する部品は旋律を乱します。池ちゃんが整備の過程をご覧になり、

池ちゃん:「僕が責任取るから、ノーマルマフラーにしない?」

僕:「え?? 僕もそうしたいし、それがいいに決まってますけど、お客様が購入された高価なマフラーですし…」

池ちゃん:「いいものがわかる人なら大丈夫ですよ(笑)」

というわけで、お客様に内緒でノーマルマフラーへ…。ノーマルマフラーは池ちゃんがご提供くださいました。

PAP_0018.jpg

PAP_0017.jpg

すっかり最適化されて調子が戻った156。最後に multiecucan でエンジンECU の Adjustment。仕上がりをオーナー様に試乗いただき、マフラーを元に戻してほしいとはおっしゃいませんでした。なんでも新車からこのマフラーを装着されていたとのことです。すっかり遅くなりましたが、今日から本来のアルファロメオを十分ご堪能ください。この度は、ご用命誠にありがとうございました。

《オーナー様から以下のコメントを頂戴しました》

新車から13年が経過し、足回りを中心にリフレッシュを依頼しました。しかし今回は、足回りに加え、これまでアルファ専門のプロショップに指摘されなかった(無視されていた?)エンジン不調についても適正化してもらうことができました。
エアフロ、ソレノイドバルブ交換、そしてまさかのマフラー純正戻しなどで156はこれぞアルファと言わんはがりにクゥォオーンと心地よい音を室内に響かせて加速します。
これまで、ディーラーやプロショップでは受け身のサービスを受けていましたが、今回たけしさんと整備方針等細かな事を話し合う事もでき、その結果、最小限の出費で最高のパフォーマンスを手に入れることができたと思います。
今後とも156の主治医としてよろしくお願いします(^_^)
ken

《以上、オーナー様からのうれしいご感想でした。》


Filed Under: アルファロメオ

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Comments

  1. オートフレンズ says

    2013年5月27日 at 9:00 AM

    たけしさん、おひさしぶりです。
    最近アルファの入庫多いみたいですね。ウチはプリウスαですが…
    それにしてもノウハウも凄いですね。
    ソレノイドやエアフロ、専門のディーラーでも見過ごすなんて、
    整備よりも販売重視の店だと代替奨めるんでしょうねぇ…
    まさか、ノーマルマフラーに適うものなしなんて驚きました!

  2. satoru says

    2013年5月27日 at 10:23 PM

    基本ノーマル。は大事な路線ですね。
    味付けでチョコット換えるがいいですよね。
    でないと、別の車になりますよね。
    部品高いですよね。互換性あればいいのに。

  3. たけし says

    2013年5月27日 at 10:24 PM

    オートフレンズさん、ご無沙汰しております。
    僕は全く輸入車は専門外なんですが、だんだん専門店みたいになってきました。
    調子の悪いアルファロメオを見抜けないのは、乗り手も整備士も『アルファは当たり外れがある』という先入観が邪魔しているような気もします。
    小さな部品ですが価格が高く、交換の判断が難しいのですが、良品部品をご提供くださるお客様のご協力あっての診断です。
    エンジニアとしては正攻法でデータとにらめっこして良否判別したいところですが、なにぶん経験不足で交換チェックに甘んじています。
    でもお客様視点では、早く診断するほうがいいに決まってますからちょっと心境は複雑なのが本音ですね。
    アルファロメオのノーマルマフラーはいいですよ。テールエンドのデザインまでクルマとの統一感があります。

  4. たけし says

    2013年5月27日 at 10:33 PM

    satoru さん
    おっしゃるとおり基本ノーマルですね。軸足をしっかり据えることは大切なことだとアルファロメオは教えてくれます。
    部品は正規ルートは高すぎます。海外からの直輸入(純正、社外互換品)検討中です。お客様のご負担が随分軽くなります。

  5. ken says

    2013年5月30日 at 11:59 PM

    新車から13年が経過し、足回りを中心にリフレッシュを依頼しました。
    しかし今回は、足回りに加え、これまでアルファ専門のプロショップに指摘されなかった(無視されていた?)エンジン不調についても適正化してもらうことができました。
    エアフロ、ソレノイドバルブ交換、そしてまさかのマフラー純正戻しなどで156はこれぞアルファと言わんはがりにクゥォオーンと心地よい音を室内に響かせて加速します。
    これまで、ディーラーやプロショップでは受け身のサービスを受けていましたが、今回たけしさんと整備方針等細かな事を話し合う事もでき、その結果、最小限の出費で最高のパフォーマンスを手に入れることができたと思います。
    今後とも156の主治医としてよろしくお願いします(^_^)

  6. たつや says

    2013年5月31日 at 10:27 PM

    今回の記事はとても興味深かったです。特にマフラーの一件。私もノーマルのバランスの良さは重々知りつつ、エスクードのマフラー交換を考えているもので。音やデザインは好き嫌いがあるから一概には言えませんが、機能面でノーマルよりもパフォーマンスアップする外品のマフラーって案外見つけにくいのかもしれませんね。私はステンよりもスチールのマフラーの音が好きなのですが、そんな製品はありませんね(笑)。実際に聞いた中ではかつてのジュリアスーパーや(初代の)ジュリエッタなんかはノーマルの鉄マフラーでも素晴しいサウンドでした。自分でステアリングを握ったのはアルファスッドぐらいですが、それでも音の良さには感心しました。まあノーマルとはいえ今日でいえば若干反社会的な排ガス&音量なのかも知れませんが(笑)メーカーのアイデンティティを感じるものでした。

  7. たけし says

    2013年6月1日 at 7:02 PM

    kenさん
    この度は車検その他、たくさんの作業をご用命誠にありがとうございました。
    私は、運良く調子のよいお手本のようなアルファロメオを知っていたので診断も処置も適切にできてよかったと思います。
    マフラーの一件は内心ドキドキしていましたが、よい結果でホッとしています。
    僕はアルファロメオ専門ではありませんが、できる範囲でお手伝いさせていただきますので、こちらこそよろしくお願いします。
    kenさんのコメントはお客さまの声として、本文にも掲載させていただきます。ご了承ください。

  8. たけし says

    2013年6月1日 at 7:08 PM

    たつやさん
    コメントありがとうございます。
    スチールマフラーの音ですね(笑)
    その昔、25年くらい前になるでしょうか。タナベのマフラー(LIMITブランド)の製造現場でアルバイトしていたことがありました。
    ハチロクやKP61には、LIMITはよく似合っていたような気がします。

  9. 池ちゃん says

    2013年6月18日 at 1:43 PM

    kenさんの笑顔
    初めてお会いしたのはたけしくんの工場でした
    礼儀正しい紳士で僕を迎えるようにご挨拶くださいました
    たけしくんの事前の手配で僕の2台のアルファロメオに乗っていただきました
    まずは3人でセダンです
    欧州のカヤバのショック/スプリングを装着したものです
    お顔の表情がエンジン音と足回りのさばきにあわせて一瞬で変わりました ずっとニコニコです
    「たけしくん …. これは何ですか?」
    「こんなになりますか? ほんとに?」
    スパイダーにも乗っていただきました
    修理ができあがると今度は破顔でした
    いい仕上がりですね
    V6の重さのないツインスパークは最良の選択に思えました
    (1.8モデルがヨーロッパでは評価されています)
    過不足なくこの車の良さを鑑賞する好事家にお会いできて光栄です
    僕の拙い経験から少しのお手伝いができたことがとても嬉しいです
    またお会いいたしましょう
    マフラーの件はご容赦ください
    つい口出ししてしまいました
    でも   いいでしょう?

  10. たけし says

    2013年6月22日 at 9:23 AM

    池ちゃんさん
    今回の修理は池ちゃんさんのご協力なしではこのクオリティで実現できませんでした。
    本当にいつもいろいろご協力いただき感謝しています。
    また今後も試乗、部品提供などでご協力をお願いすると思います。
    よろしくお願いします。

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