スズキ アドレスV100です。
年式不明 CE11A 走行距離 21,000km
加速不良ということで入庫しましたが、問診ではどうも変速不良のようです。
まず駆動系の点検です。こちらのアドレス、変速プーリーの中心ナットは逆ネジです。分解前に確認しますとドライブフェイスにガタが… 変速が不調の原因のようです。
いやな予感的中で、ナット及びクランクシャフトの雄ネジを傷めていました。取り外さないと仕事が進みませんので、インパクトレンチでねじを潰しながら取り外します。
雄ネジ部の外径はもともとM12 P1.25の逆ネジ。ナット取り外し後は11mmになってしまいました。
経緯をお客様に説明申し上げますと、古いバイクなので乗換えもお考えとのことですが、愛着がおありのご様子でしたので、ネジを再生する方法を模索することにしました。
何気なくネジ修正関連の海外サイトを閲覧していると、一般的に安価では入手困難なM11の修正具が見つかり、新品ダイスとデッドストックと思われるヘリサートキットを手配しました。
こういう金属加工具の安価なものには注意が必要です。今回は良品が運良く安価に入手できて幸運でした。
米西海岸発で約10日後に手元に到着しました。
早速加工します。焼きの入った金属にタップやダイスで加工するには神経も時間も消費します。
無事センターナットにM11のヘリサート挿入。
次にクランク軸にM11の雄ネジを加工。
無事ネジは修正でき、締め付けトルクもしっかりと掛かります。
元々ネジの切っていなかったクランクシャフト先端部は、キックスタート機構の一部ですのでネジ切り加工したことで走行中に不具合が生じることはありません。
しかしノーマルとは違って正ネジです。センターナットに直接緩む力が加わるキックスタートは厳禁であることをお客様にお伝えし納車いたしました。
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