「高速道路を100km/h程度のスピードでしばらくの間一定走行していると、異音が発生する。」
という症状です。しばらくというのは1時間程度以上で、症状を再現するのに長期戦覚悟で診断することにしました。お客様はいくつかの正規ディーラーに足を運ばれて症状を訴えられたそうですが、十分な診断をしてもらえずお疲れの様子でした。
さて、今一度お客様からお車の症状をうかがいます。
お客様:「ブレーキに足を乗せるとその音が消えて、しばらくするとまた出てきます。」
僕:「ブレーキに関係…、いやいや、ブレーキ操作に関係あるんですね!!」
やはり問診は大切ですね。大変重要な情報が無意識のうちに隠れてしまっていることが多く感じます。
そしてフロントに装着されている巨大なブレンボに目を遣ると、すっかり摩耗しているように見えるディスクパッドが…
僕:「〇〇ディーラーで簡単に点検はされたんですよね?ホイールの隙間からは少し判りにくいですが、ブレーキの残量不足に見えます。ブレーキの警告灯表示はでていませんでしたか?残量の少ない(熱容量の小さくなった)パッドが長時間摩擦され、過熱して鳴きが発生した可能性があります。異音解消につながるかは不明ですが、まずディスクパッドの交換をしてはいかがでしょうか?」
とお奨めし、お客様の了承を得てディスクパッドの交換作業に入ります。
分解するとほとんど残量がありませんでした。また、パッドセンサーの装着不良で警告表示がされていなかったことも明らかになりました。ブレンボの4ポッドはピストンツールを2個使って押し戻します。
写真を撮り忘れましたが、タイヤの内側にワイヤーが露出するひどい摩耗を確認し、後日タイヤ交換もご用命いただきました。
ディスクパッドにタイヤの摩耗… 基本的なメンテナンスで調子を取り戻したS8。その後、お客様は高速道路を走行され、異音解消と共に新品タイヤの乗り味のすばらしさをお知らせくださいました。
僕も市街地で試運転をしましたが、S8って本当に楽しいですね。ゼロ発進時にクワットロを全身に感じて身震いしてしまいました。右左折時も軽快で長いホイールベースや大きなボディサイズを感じません。ドライブする楽しさを味わえるクルマって少ないと思います。
この度はご用命誠にありがとうございました。
読者様からのお便り